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「家主様向け情報誌」3月号の解説

今回は、僕が発行している「家主向け情報誌」3月号の記事の解説をさせていただきます。
ちなみにこの原稿は販売していますので、興味のある方は、下記のページをご覧ください。
https://www.geonetwork.co.jp/hissu/index.html
3月号の原稿は下記で見ることができます。
https://www.geonetwork.co.jp/hissu/2011.3-b5.pdf

「家賃への消費税課税復活」の動きと、反対の署名運動

消費税アップに伴って、今まで課税を免れていた「住居系」家賃にまで課税の範囲を広げる、という案は、業界新聞等ではほとんど取り扱っていないニュースですが、そのような動きがあるのは事実のようです。(社)全国賃貸住宅経営協会のホームページで、反対の署名運動への参加を呼び掛けています。 http://top.zenjyu.or.jp/

万一課税されると、家賃に10%(税率がアップされたとして)を上乗せして借主に負担させるのは、ほとんど不可能なのではないでしょうか。仮に、全国の家賃が一斉に10%アップで募集したとしても、現場の「値引き交渉」において、結局、現在の相場に落ち着いていくと思います。簡易課税を選択するオーナーは、家賃の5%を国から徴収されますので、実質的に運営費が5%以上増加することになります。私たちがオーナーから受け取っている管理料と同額の費用が増えるのです。その分、キャッシュフローが減り、オーナーの賃貸経営を圧迫することになります。中には、「自社管理」を検討するオーナーもいるかもしれません。

私たちの仲介手数料にも少なからず影響があって、
今までなら 10万円の物件は、10万5000円(消費税込み)の手数料でした。
これが、10万円の家賃に消費税が含まれていると、手数料も10万円(消費税込み)となるわけですね。(正確には99,999円だと思います)5000円が減ったことになりますが、税率が上がれば1万円の収入減になります。

個人的には、「実施はあり得ない」と思っていますし、この事で大騒ぎするつもりもありませんが、「反対の署名運動」をやっているなら参加した方がいい、と思いました。僕も署名済みです(一応、区分マンションを貸しているので)。「得だねッ情報」は約100社の管理会社様に使っていただいていますが、1社が平均で100人のオーナーに、この冊子を送っているとすれば、10,000人のオーナーの元に届けられています。オーナーにとって死活問題ですから、この事を知れば多くの方が署名に参加するかもしれませんね。

「更新料を支払う条項」は使ってはならない。今度は契約書が訴えられた。

「更新料問題」は、全国のオーナーに共通の問題ではないのですが、「行き過ぎた消費者保護」という観点で見ると、同じ根っこの問題であることが分かります。原状回復費用もそうですし、「滞納家賃の督促行為の規制」もまな板に乗っています。今後は、「礼金」や「共益費」にも火の粉が降りかかるかもしれません。

プロパティマネジメントの目的は、「オーナーの収益の確保」です。いくつかの選択肢の中で、どの方法がオーナーに多くの利益をもたらすか。その答えを見つけて、オーナーに提案・説得し、上手く首尾を遂げることが「仕事」です。目先の利益でなく、中長期の視野で判断する必要があります。

オーナーへの提案内容は、管理会社によってそれぞれ異なってしかるべきで、ひとつの正しい答えがあるわけではありません。そもそも、賃貸経営する目的が、オーナーによって違うのですから。

ただ、「標準的なオーナー」を仮定して述べることが許されるなら、
更新料は徴収しない方がいいと思っています。
原状回復費用も、国土交通省のガイドラインに、ほぼ従った方がいいでしょう。
これは僕の個人的な意見で、現場の皆さんから賛否両論があると思います。仮に、私たちが「そう考えた」としても、オーナーは聞きとどけてくれない事が多いでしょうし・・・。

ただ、次のように考え方は大切かな、と思います。
ひと組のお客様(入居者)の平均入居期間を4年として、この間の収入を最大にすることを「一番大切」に考えること。そして、守りたいのは「契約賃料」です。これを下げたら、4年間にわたる毎月の実効賃料が減り、物件の価値も下がります(投資用不動産は収益還元法ですから)。この「最後の砦」を守るためなら、家賃の1ヶ月相当の更新料や、2ヶ月程度の原状回復費用など、目をつむってもいいのではないでしょうか。(現実には、一番最初に「最後の砦」を明け渡すよう進言する管理会社が多いみたいですけど)

今回の記事の要点は、個別に争われている「更新料が是か非か」と言う問題が、「更新料の支払い条項を契約書に書いてはならない」という根本的なところに踏み込まれていることです。消費者契約法の改正で、そのような裁判を起こすことが可能になったのです。(それが出来るのは適格消費者団体に限られますが)この「使用の差し止め」が認められれば、大手の賃貸管理会社の契約書は、軒並みに訴訟の対象にされるかもしれませんね。このような現状は、関東と京滋地区のオーナーには知っていただいた方がいいのではないでしょうか。

「賃貸経営塾」 築20年の木造アパート。売りたい人と買いたい人

この記事は、築年数が20年を過ぎた物件を所有するオーナーを前提に、「キャッシュフロー経営」や「メンテナンス計画の必要性」を説きたいと思いました。そのために、中古物件を積極的に購入しよう、という投資家を登場させました。決して、オーナーに不動産投資を進めているわけではありません。

ある投資家が、「敷地50坪、2DK 10戸、築25年」の物件を3,000万円で購入を検討しているとしましょう。彼が、「このまま手を加えず、賃料も相場並みで、入居条件も特に緩和せず」に運営しようとするならば、「入居率が80%以上でないと赤字になる(キャッシュフローがマイナス)」ような計算はしません。「入居率がもっと低くても採算が合うように」計算し、そこから3,000万円という価値を逆算しているからです。だから、「入居率60%でも利益が出る」のです。

しかし、その場合でも投資家は、3,000万円に近いローンを組み、元利を含んだ返済額を差し引いても、必要なキャッシュを残せるように計算しています。一方で新築時から所有していたオーナーは、ローンを完済して返済の必要がなくなっているのに、古くなった物件を見て肩を落としているのです。でも計算すれば「入居率60%でも利益が出る」はずなのですね。その「利益」の前提が違うのかもしれませんが。

私たち管理会社も「空いている部屋は決めなければ」という強迫観念にかられています。確かに、なるべく決めるように努力すべきですが、「古い物件に、何の手も加えず、賃料も相場並みで、入居条件も緩和しない」のなら、「入居率80%90%が至上命令」というのは「無理な注文」と気がつくべきです。モノには「適正な率」というものがあります。

賃貸仲介の店舗の「適正な契約率」で考えてみましょう。並の店舗で、紹介する物件は「先物」で、集客はほとんど「フリー客」のとき、「適正な契約率」はどれくらいでしょう。30%から50%くらいでしょうか。その条件で50%というのは悪くないと思います。一方、建築会社の子会社で、いつも新築の、程度の良い、アパートや賃貸マンションが管理物件として供給されていて、集客は新築目当ての「反響客」のとき、「適正な契約率」はどれくらいでしょう。80%以上を決めても不思議はないと思います。モノには「適正な率」というものがありますよね。

この「適正な入居率」を知るためには、「どれだけの収入があれば「可」とするか」を知らなければなりません。賃貸経営の数値は下記の式で計算されます。

実効賃料収入-運営費-返済支払額=キャッシュフロー(税引き前)

オーナーの「運営費」と「返済額」が分かれば、必要なキャッシュフローを残すための「実効賃料収入」が導けます。それを「潜在賃料収入」で割れば「あるべき入居率」が計算できます。

潜在賃料収入・・・・相場賃料で「値引き・滞納」がなく満室となったときの賃料
実効賃料収入・・・・実際に徴収できた賃料
実効賃料収入÷潜在賃料収入=稼働率(入居率と言っても遠くはない)

プロパティマネジメントを実施するには、オーナーの「懐具合」ほ知る必要があります。その理由は、以上の説明で理解できるでしょう。オーナーの収入と支出の実態を知っていなかったら、賃貸経営を正しい方向に導くことは出来ません。オーナーの税理士さんはこの数字を知っていますが、プロパティマネジメントの観点からアドバイスが出来るかは、疑問です。

もうひとつ記事の中で、メンテナンスには「予防メンテ」「緊急メンテ」「繰り延べメンテ」があると説明しています。大体のことは記事で説明していますが、そのために「メンテナンス計画」の必要性に触れています。もし皆さんが、「オーナーにメンテナンス計画を積極的に勧めていない」場合は、ここを強調すると「やぶ蛇」になるので、記事を書くときも注意しています。

反対に、見込みオーナーに読んでいただくときは強調したいですね。「いま依頼している業者さんは「メンテナンス計画」を提案していないのですか?信じられませんね」くらいの調子で(笑)。あるいは自主管理のオーナーさんにも、「やはり、賃貸管理の専門家に依頼しなければダメだな」と感じていただきたいですし。

「得だねッ情報」を書くときのジレンマは、現状の管理の不備に切り込んで「あるべき賃貸経営」を語りたいのですが、あまり書きすぎると、それによって皆さんがオーナーから非難されては困ります。本当は「管理オーナー向け」と「見込みオーナー向け」と別に作ればいいかもしれません。当社の売り上げも増えますし・・・・。

ただ、プロパティマネジメントには絶対に必要な提案です。単に収支のことだけでなく、オーナーが抱えているリスクを軽減するためにも「予防メンテナンス」は行わなければなりません。「得だねッ情報」でも、昨年の12月号から3回にわたって取り上げたテーマです。また、私たち管理会社のリスクマネジメント上でも不可欠です。このテーマは、本メルマガでも取り上げていこうと思っています。

「ワンポイント税務」

待望の「税理士の先生による連載記事」が始まりました。オーナー向け情報誌なので「税金」の記事は不可欠なのですが、僕は専門家ではないため、今までは新聞記事等の引用以外は、あまり掲載していなかったのです。今後は、「相続税の還付手続き」「税務調査アラカルト」「争族の悲惨な現場」など、実際の経験談を書いていただく予定です。著者は相続税の専門と言ってもよい「谷口健吉税理士」です。

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