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好きな部屋なら永く暮らしたい

欠点のない物件が決まらない

あるオーナーがいました。
築10年の賃貸マンションを所有しています。駅から10分で25㎡の1Kです。オートロックは付いていないものの設備もそこそこで外壁もタイル張りです。特に欠点の見えない物件といえます。
そしてあるとき、一人の入居者が退去したので、原状回復工事を急いで1週間で仕上げました。一日も早く募集開始がしたかったからです。部屋のクロスを全面貼り換えして、フローリングの一部を補修し、エアコンも含めてルームクリーニングしました。室内はとても綺麗になりました。
部屋と設備の写真を全て撮影してインターネットに掲載してもらいました。退去の立ち合いからここまでのスピードは満点の出来です。管理会社さんも頑張ってくれました。
しかしその後、お客様や業者からの問い合わせがあまり入りませんでした。問い合わせがあっても案内まで繋がらないのです。そのうち1ヶ月2ヶ月と経ち、気が付くと空室期間が3ヶ月目を迎えてしまいました。急いで1週間で原状回復工事を仕上げても、そのあとの2ヶ月3ヶ月が空室のままでは意味がありません。家賃を下げたくないと考えているオーナーは頭を抱えてしまいます。
・・さて、これは珍しい事例だと思われますでしょうか?このオーナーのケースは運が悪い出来事なのでしょうか?
このような特に欠点の見いだせない物件でも、問い合わせがなく空室が続くことはあり得ます。お客様がよく利用する賃貸物件検索サイト(スーモ等)で条件を絞って検索しても、オーナーの物件は上から30番目くらいに表示されてしまうのです。それだけ同じような条件の物件が同じ地域に多く掲載されているのでした。物件がインターネットの中に埋もれてしまっている状態です。この傾向はますます強まるでしょう。需要と供給が大きく逆転しているのですから当然です。いったい、どうすればいいのでしょうか?

「ある工夫」を加えたオーナー

もう一人のオーナーを紹介します。所有しいる物件の条件はほぼ同じです。このオーナーは、原状回復工事にプラスして「ある工夫」を加えていました。洋室とトイレの壁の一面だけ、色と柄で綺麗にデザインされたクロスを貼り、さらに照明器具をお洒落なデザインのものに取り替えたのです。
オーナーはセンスには自信がなかったので、デザイン学校に通っている入居者のAさんに相談して選んでもらいました。その結果、25㎡の部屋が見違えるようになったとオーナーは思いました(単なる自己満足かもしれないとも思いましたが)。この工事で6万円を少し超えた費用がかかりました。
そして、洋室とトイレの壁・照明器具の写真を何枚も撮ってインターネットに載せてもらいました。これだけの違いなのですが、お客様と業者からの問い合わせが増えて、部屋は1ヶ月以内に決まりました。これは偶然でしょうか?それとも必然でしょうか?オーナーは「決まるべくして決まったのでは?」と思いました。
お客様を案内した営業スタッフが「あの部屋のクロスと照明器具はいいね」と口コミを広げたり、インターネットに掲載された写真の、目立つ色・柄のクロスと洒落た照明器具が目について、お客様の「見てみたい」という欲求を生んだはずです。そして部屋を見たときに「住んでみたい」という気持ちになったのではないかとオーナーは考えました。

他の入居者も同じなのではないか

後日談として、オーナーはクロスと照明器具を選んでくれたAさんに、部屋が決まった報告も兼ねてお礼を言いました。するとAさんは喜んでくれましたが、一方で残念がってもいました。「私が住みたかった」という理由のようです。そこでオーナーは、お礼の気持ちでAさんの部屋も、好みのクロスと照明器具をセットしてあげることにしました。6万円の出費は小さくはありませんが感謝の気持ちが勝ったのです。
さらにそのときオーナーは閃(ひらめ)きました。「他の入居者も同じ要望を持っているのではないか・・・」と考えたのです。工事をするなら一緒にやれば安くなるはず、とも考えました。そこで他の入居者にアンケートしてみました。「あと2年以上住んでくれることを条件に、クロス・照明器具をセットして差し上げます」と。
モデルルームはないので、募集用に撮影した部屋の写真をアンケートに添付したところ半分の入居者が希望しました。クロスと照明器具は、いくつかのサンプルから入居者自身に選んでもらいました。同時に複数の部屋を工事したので、費用は一部屋当たり5万円程度で済みました。それでも数がまとまったので少ない出費ではありませんが、年度末ということもあり、必要経費で計上できることも決断の後押しをしました。クロスと照明器具を自分好みに選んだ入居者は、きっと長く住んでくれるはずです。
そしてオーナーは考えました。次に部屋が空いたときは、クロスと照明器具は入居者に選ばせてあげよう・・と。5~6部屋分のサンプル写真も揃ったのでモデルルームを用意する必要はありません。
原状回復工事にプラス5万~6万円の出費で差別化が実現できるなら「費用対効果は合うのでは」とオーナーは考えます。インターネットでも目立つし、業者も話題にしてくれるようです。これからの賃貸経営に、少し自信を持つことができました。

さて、一番目と二番目のオーナーの違いは、原状回復工事にプラスした「差別化のための」工事でした。同じ差別化工事でも、和室を洋間に変えたり、間取りを変更したり、設備をそっくり入れ替えるのは多額の費用がかかります。しかも物件の生涯の中で一度きりの選択でしょう。このような工事が必要なときもありますが、まずは家賃の1ヶ月分程度の費用で「何ができるか」を考えるべきです。二番目のオーナーの選択は、検討すべき事例のひとつだと思います。

 

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