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賃料が立て替えられていても契約は解除できる!?

あるオーナーが、個人ではなく保証会社による保証契約で部屋を貸しました。
すぐに借主は家賃を滞納しましたが、滞納分は、保証契約に基づいて保証会社からオーナーに支払われました。
このケースでオーナーは、家賃の不払いを理由に賃貸借契約を解除することができるでしょうか?

 いままでは多くの人がこの問いに対して、「オーナーは滞納された家賃を受け取っているので請求する権利はないから解除はできない」と考えてきましたが、その常識(?)を覆す判決が平成25年11月に高等裁判所で下されました。
しかもこの判決は後日、最高裁でも正しいと認められて確定しています。

 まず、家賃を滞納した借主の言い分は、「貸主は不利益を被っていない(保証会社から家賃を受け取っているのだから)」というものでした。
だから契約の債務不履行にはならない、という主張です。
それに対して貸主側の主な言い分は、「保証会社に保証料さえ払えば「居住し続ける権利」は借主にはない」「それを許せば保証会社が破綻して善良な借主が犠牲になる」というものでした。

 裁判所は前述の通りに貸主側の主張を支持して、「保証会社が貸主に支払った金銭は“借主による賃料の支払いではない”ので、債務不履行の事実は消えない」という主旨を述べています。
保証会社からの代位弁済(代わりに支払うこと)があっても、借主の債務不履行が認められたのです。
この判決は「画期的」として業界紙にも紹介されています。

 この判決を読んで、私たちはどのように考えればいいのでしょう。

 オーナーは、保証会社から家賃が支払われれば金銭的な損害はありません。
しかし、だからといって、そのままにしておいて問題はないのでしょうか?

 まず、保証会社が滞納家賃を負担する金額に限度を設けている場合があります。
そのときは、いずれオーナー様に火の粉が降りかかり、直接に支払い交渉等をしなければならなくなります。

 そして、保証会社の代位弁済が増えて損害が多くなれば、保証料を高くする動きや、保証会社の倒産という事態が増えることが予想されます。
これはオーナー様にとって大きなマイナスです。

 さらに、滞納する借主は、他の入居者に迷惑をかける可能性が高いはずです。
ルーズであり、共同生活のルールを守れない生活態度をとることが多いですし、そのうえ、玄関先で行われる家賃督促行為は、他の入居者には聞かせたくないでしょう。

 以上を考えると、たとえオーナーに金銭的な損害が発生していなくても、家賃滞納の債務不履行で貸主側から契約を解除できるという、今回の最高裁の判断は重要な出来事として記憶に留めておく必要があります。

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