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定期借家制度のメリットについて

Q 「空室」や「滞納」「更新料」など、我々家主を取り巻く環境は厳しさを増すばかりです。
そんな中で最近、「定期借家制度」が見直されているという話を聞いたことがあります。この制度の大まかなルールは理解しているつもりですが、どんな点にメリットが見いだされているのでしょうか。 

 定期借家制度は2000年3月に開始されてから約10年になろうとしていますが、賃貸住宅においては普及率は低いまま推移していて、お世辞にも成功とは言えない状況にあります。
普及しない理由は、家主や管理業者の間に「定期借家では部屋が決まりにくい」という不安があるので導入に消極的なっているものと思われます。
しかし、「それは勘違い」とう意見があるのも事実です。
そして、最近は定期借家制度を見直して、積極的に導入しよう、という論調の意見も見られるようになってきました。
そこで、定期借家権のメリットを並べてみましょう。

▽空室対策としての定期借家
募集賃料の値下げを考えたとき、既存の入居者からも値下げの要望が出ることへの不安で踏み切れない、という事情があります。
このような場合は定期借家であることを大義名分にすることができます。
また応用パターンですが、空室が多数出た場合などには、再契約後は通常の賃料に戻すことを条件に1年程度の短期間だけ思い切った賃料で集客するといった方法を取ることもできます。
期間満了で退去する入居者が出ることも十分考えられますが、現実問題としては一定期間住み慣れたところを引き払うことは、相当な労力を必要としますので、そのまま再契約する可能性は高いと思われます。
次に、物件が住みやすい状態になりやすい、というメリットもあります。
物騒な事件が多発している現在、隣人がどんな人間かを気にするお客様も多くなっています。
俗に言う不良入居者には、最長でも契約期間の満了を持って立ち退いてもらうことが出来ますので、良好な共同生活を営むことが出来る入居者だけに長く住んでいただくことが出来ます。
この点を募集段階からアピールすることで、競合物件との差別化が図りやすくなります。

▽建替え・大規模修繕のメリット
これは国交省でも推薦している利用法です。政権が民主党に代わったことにより、住宅政策が持ち家重視から賃貸住宅の利用に転換されると言われます。
そのための借主保護策の中には賃貸物件の補修状況や性能をまとめた履歴書の作成・閲覧を徹底することが検討されています。老朽化した物件や時代のニーズに合わなくなってしまった物件などは、残念ながら今まで以上に競争力を失ってしまうことが予想されます。
せっかく建替えや大規模なリニューアルを計画しても、普通借家契約では正当事由の壁により、明け渡しをスムーズに運ぶことが困難でした。
そのため建替え計画を立てた段階から、空室が出ても新規の募集をせずに放置せざるを得ず、より収益性を悪化させることになっていました。
2000年3月以降に締結された普通借家契約ならば、双方が合意すれば、期間満了時に定期借家契約に切り替えることが可能です(国交省のホームページに掲載)。
この方法で定期借家契約の部屋を増やしておくことにより、少しでも立ち退き交渉の手間と立退料の負担を軽減することができます。

▽更新料問題もこれで解決!?
更新料の有効、無効が裁判で争われることになりました。
無効と判断されたときは、前に遡って徴収した更新料の返還を迫られる可能性さえ取りざたされています。
定期借家契約には「更新」という概念がありませんので更新料は発生せず、その代わりに「再契約料」が発生します。
たとえ更新料が裁判で無効とされたとしても、「再契約料」は事情が違うと専門家は説明しています。
なぜなら、普通借家契約における「更新」は家主が拒否することは困難です(正当事由が認められなければなりません)。
ですから借主が更新料を払わなくても更新はされてしまいます。ここに「更新料」の支払義務の弱さがあります。 定期借家における「再契約」は、双方の合意があって初めて先に進みます。
再契約料の支払いも合意内容の一部とすれば、再契約料なしでは契約が締結されないので、借主の支払義務は強化されることなります(もっとも再契約時の条件交渉のなかで、再契約料の有り無しや金額が取り上げられることになりますが)。

不動産情報を提供しているアットホーム社の調査によりますと、昨年の全登録件数のうち定期借家物件は4.2%と少数ですが、平均賃料は15万700円と普通借家の平均賃料9万900円と比べ高額になっています。
住宅種目別に見ても一戸建て、マンション、アパート全てにおいて定期借家のほうが普通借家の賃料を上回っています。
これは、定期借家がリロケーションで多く利用されていることと、戸建やグレードの高い物件を定期借家にする割合が大きいことが平均賃料を引き上げいる理由と考えられますが、これからの賃貸経営のヒントが見えるような気がします。

 

 

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