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滞納賃料督促の法的手続きについて(前篇)

Q. 家賃の督促を法的な手続きで行う場合に、
「公正証書」、「民事調停」、「支払督促」、「即決和解」、
「通常訴訟」などの方法が紹介されてます。
それぞれの特徴を説明してください。

A. 家賃の支払いが遅れている方に、
最初は電話、文書、訪問などで対応すると思いますが、
いよいよ入金がない場合は「法的手続」に及んだ方がいい場合があります。
目安は、滞納発生から2~3ヶ月でしょうか。
そして、オーナーさんが使える法的手続きとして、
挙げられた5つの方法が出てきます(あと、少額訴訟がありますが)。

紙面の都合もありますので、シンプルに説明していきましょう。

「公正証書」は公証役場で公証人に作成したもらう、
公信力のある(内容を真実とみなす)書類です。
裁判をしないでもその内容は真実とされます。
馴染みのある書類として、遺言状がよく公正証書で作られます。

何よりもこの書類が強力なのは、「債務名義」となることです。
つまり裁判をしなくても強制執行で、
家財や預金や給与などの財産を差し押さえることが出来ます。

賃料の高い店舗・事務所や高級賃貸住宅は、
賃貸借契約書を公正証書で作成しておくとよいでしょう。

滞納が発生した後に公正証書を活用したい場合は、
溜まった家賃の「支払い約定書」を公正証書にする、
という使い方があります。
その約束に違反すれば強制執行されることになります。
ただし、「明け渡し」の強制執行は出来ません。

「民事調停」は、
貸主と借主が何回か裁判所に通って、
裁判官と民事調停委員のもとで話し合いによる解決を目指すものです。
合意できれば調停調書に記載されて判決と同じ効力があります。
調書に書き込まれれば「強制明け渡し」も可能です。

ただ、何回か話し合いに出席しておいて、
最後に借主から「やめました」と言われると「不調」となり、
最初から無かったことにされてしまうので、
それを知っている不良借主から悪用されることもあるかもしれません。
あまり、お勧めできる方法ではないと思います。

「支払督促」は、
貸主が簡易裁判所に行って依頼すると、
裁判所が借主宛に督促状を送ってくれます。
特に証拠となるものが無くても応じてくれます。

手続きも簡単で、裁判所に用意されている3枚の用紙に、
要求される事項を記入するだけで完成します。
費用も裁判の半分です。

支払督促は、まず借主側に大きなプレッシャーを与えます。
貸主からの内容証明と違い、裁判所からの督促状ですから。

次に、借主が受け取ってから2週間で「異議の申立」をしないと、
判決が確定します。
つまり裁判なしで判決が確定されるのです。
その後「仮執行宣言の申立」を裁判所から送付し、
さらに2週間「異議の申立」がなければ強制執行ができるので、
とても強力です。

もし、借主から「異議の申立」があると、
通常の裁判が開かれることになります。
通常の裁判になったら、取り下げるか、
そのまま続行するかを判断することになります。

その裁判では和解が勧められることが多いでしょう。
和解調書なら「明け渡し」の強制執行も可能なので、悪い話ではありません。

「即決和解」と「通常訴訟」は次回に説明いたします。

 

 

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