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オーナーの財務上のリスクについて

財務上のリスクとは

財務上のリスクとは難しい表現ですが、つまり「予定通りの収益が出るか」、「極端に悪化しないか」というリスクです。
健全な賃貸経営を続けるためには、賃貸収入から、必要な経費(保険、固定資産税、管理料、修繕費など)とローン返済額を差し引いたあとに、ある程度の現金が残らなければなりません。
これをキャッシュフローといいます。
このキャッシュフローが予定より少なくなると、将来のために必要な資本改善(※)が行えなくなります。何よりも、現金が残らないなら何のための賃貸経営か、ということになってしまいます。

※資本改善とは、設備の取り替えや間取の変更を伴うリノベーションなど、その期の経費とはならない「資本的支出」のことですが、10年から15年の単位では、多少なりともこれを実施していかなければ、「長期空室」というリスクが現実化してしまいます。超一等の立地なら別ですが・・・・。

このキャッシュフローを減らす要因=リスクを、できるだけ排除していかなければなりません。

潜在総収入と実効総収入

まず、ご所有の賃貸物件を100%稼働させたときの、「あるべき収入額」を掲げることが大事です。
それはオーナーの期待する金額ではなく、部屋を借りるユーザーが認める金額、すなわち正しい相場での収入額ですが、これが満室で維持できたときの年間収入額を掲げます。これを「物件の潜在総収入」などと言います。
新築時でもない限り(※)、「潜在総収入」を実現することは難しいですが、何事にも「目標値」というのは必要です。

※最近では新築でさえも100%の稼働は難しいようです。
この「潜在総収入」を妨げる要因=リスク となるものを挙げてみましょう。

・空室
空室は、「退去者の増加」と「空室期間の長期化」の掛け算で増えて行きます。
・家賃の値下げ
・家賃の譲歩(フリーレント等)
・礼金の減額
この3つは、賃料を直接減額させる要素として、よく交渉のタネになります。
・家賃の滞納
部屋は埋まっているのに家賃が入らない「滞納・貸倒れ」は、空室よりも始末が悪いです。

潜在総収入から、上記の減額要因を差し引いたものを「実効総収入」などと言います。この2つの間にあるものが「ロス率」です。
キャッシュフローを確保するための第一課題は、この「ロス率」を適正に保つことです。※ゼロには出来ませんので。
今月は、空室要因の中の「退去者の増加」について考えてみましょう。

「テナントリテンション」とは?

直訳すると、テナント=借主、リテンション=維持(確保)する、ということになります。
つまりは、借主さんになるべく永く住んでいただくための、あらゆる行為のことです。
さて、オーナーさんは、借主を「維持・確保」した方がいいのでしょうか。 それとも、どんどん入れ替わってくれた方がいいのでしょうか。  うまく入れ替わってくれれば礼金が入るので収入が増えそうです。

昔、マクドナルドに代表されるファーストフード店は、客に店に長居(ながい=同じ所に長くいること)されたくないので、椅子をプラスチック製にしていたことがあります。※今も名残りのある店舗があります。
当時のファーストフードは、お客様の回転数を重んじていたのですね。
同じような考えが、30年くらい前にワンルームアパートを建築するときにもありました。 「出来れば2年ごとに出て行ってもらいたい」、そうすればオーナーは、礼金分(あるいは敷引き)が増収になるし、という発想です。
だから、6畳に満たない部屋に3点ユニットという間取りを、ある意味、戦略的に作ったものです。
さて、その発想が現代も通用するでしょうか。  ごく一部の人気エリアか、物件供給の少ない地域では通用するかもしれませんが、ほとんどの地域では、借主の退去がオーナーにもたらすものは、
・募集賃料を今までより下げなければならない。
・次の借主が、すぐには決まらない(空室期間が長い)。
・募集のための費用を負担しなければならない(広告費など)。
という三重苦です。

だから現在では、借主には、なるべく永く住んでもらいたい、という発想が大切になっています。
マクドナルドの椅子が、少しは座り心地がよくなったように(スタバの方が、もっといいですけど・・・・個人的な意見として・・・・)。
今や、空室のリスクの回避策として、「テナントリテンション」が一番大切な考えになっています。 つまり、バスタブにお湯を満たすのに、蛇口からお湯を出すより、排水口に栓をして、お湯が抜けるのを防げ、ということです。
いくら一所懸命にお湯を入れても、底から抜けていては満タンになりませんので。

いま世の中は、利用すれば利用するほど、安くなったりサービスが良くなるのが、最近の商売の主流です。カードのポイントも、マイレージが貯まる仕組みも同じです。
ところが賃貸住宅の借主さんは、毎月賃料を払ってくれる究極のリピーターなのに、永く住めば住むほど得はしていません。と、言うよりは損をしているケースもあります。なぜなら、新しく入居した借主の方が賃料が安かったりしているからです。  なので、「テナントリテンション」を実施するとしたら、「住めば住むほどサービスが良くなる」というテーマは、とても大切になるはずです。
では、テナントリテンションの具体的な方法には、どんなものがあるでしょうか。

<2年ごとに設備やサービスが付加される仕組み>

例えば、

・テレビドアホンを設置する
・浴室乾燥機を設置する
・畳を6枚入れ替える
・プロのルームクリーニングを頼める
・備え付きの液晶テレビを設置する  等々
2年ごとに、借主の希望するサービスを実施してあげます。
この方法の良いところは、これらの設備は借主に差し上げるのではなく、オーナーの資産が増えている、ということです。  自転車等をプレゼントしたら引っ越すときに持って行かれてしまいますが、設備なら、次の借主には「TVドアホン付き」で貸すことができます。
空いている部屋に募集対策のためにお金を使うなら、いまの借主のために使った方が喜ばれますし、お金も生きるというものです。
もちろん経費が増えます。経費が増えるのは、キャッシャフローを減らす原因になりますから、退去を食い止める、というプラス要因と、経費増というマイナス要因を比較して決断します。それが経営判断というものですね。

<快適な住空間を提供する>

入居者に、快適に暮らせる環境を提供するのは、基本的ですが大切なことです。
何も、手間と費用をかけて、ゴージャスな空間を提供しよう、と言うわけではありません。

・エントランスの郵便受け等が整理されている
・駐輪場の自転車が整然としている。
・ゴミステーションが、いつでも清潔に保たれている。
・共用部分の電灯が切れたままになっていない。
つまり、当たり前の“環境整備”を当たり前に行う、ということです。
毎日、清掃をしない旅館やホテルなんて、聞いたことないですよね

<入居者の希望を取り入れる>

募集に当たって部屋に手を加えるときに、次の入居者を想定して、設備の追加や壁のクロスを選んだりしますが、それなら、今の入居者の希望を聞いて取り入れた方が、手っ取り早いし効果的であろう、という発想です。
例えば、現在の入居者に女性が多いなら、セキュリティ設備を追加して満足度を上げるとか。
セキュリティ設備といっても、
・ワンドアーツーロック
・サッシ面に防犯シート
のような、比較的 低コストでできるものです。実際に、一番防犯に役に立つのも、この二つと言われています。
自転車が多い、お子さんの年齢層の低いファミリーが多いなら、駐輪場に屋根を設置するとか。
経費増はできるだけ避けたいのですから、掛けるなら費用対効果の高い掛け方を選択したいです。  確実なのは、未来の入居者を想定するより、現在の入居者に訊ねることだと思います。
結局、今の入居者に喜んでもらえる改善は、これから入居を検討するお客様にも魅力的なはずなので、「空室期間の長期化」を阻止することにも繋がるはずです。 (つづく)

 

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