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アパートや賃貸マンションでの孤独死

アパートや賃貸マンションでの「孤独死」がニュースになっています。最近のケースを、いくつか挙げてみましょう。

2月20日に、さいたま市のアパートで、60代の夫婦と30代の息子の一家3人が発見されました。半年前の去年夏ごろから家賃が滞納していて、電気やガスも止まっていました。

東京都台東区の3階建マンション1階で、90歳の父と63歳の娘さんが発見されました。
2人は父親の年金暮らしで、郵便受けには2月7日以降の新聞がたまっていて、近所の住人が大家さんに連絡して発見されました。

1月26日には、札幌市のマンションで、無職の女性(42)と知的障害のある妹(40)さん。
2人の収入は妹の障害年金・月約7万円だけで、滞納でガスは
11月末に止められていました。

東京都立川市では、2件、立て続けに起きていて、その対応が問われています。
2月13日、立川市のマンションで45歳の母と4歳の男児の2人。このマンションは一昨年春に新築され、間取りは1LDKで家賃は10万円弱だそうです。
3月7日、都営アパートで90歳代と60歳代の親子とみられる女性2人。
都住宅供給公社から「1週間ほど連絡が取れない」と通報を受けながら、立川市は5日間放置していたことが分かりました。

いずれも賃貸物件の中での出来事であり、大家さんがいらっしゃいます。大家さんにとっては「当事者」としての切実な問題です。
このようなことが起こるとどうなるのか、どんな問題が考えられるか検証してみます。

まず、契約者の方が亡くなっても、契約は終了していません。相続人と交渉して契約を解除する必要があります。したがって、家財道具を処分する権利は相続人にしかない、ことになります。
相続人がいないとか、相続放棄をされた場合は、契約解除や明け渡しの交渉相手がいないことになるので、面倒な手続きが必要です。
「相続財産管理人」の選任を、家庭裁判所に申し立てしなければならないのです。相続財産管理人は、裁判所が弁護士さんを紹介してくれる場合が多いようです。審判が始まって結果が出るまで時間がかかります。
その費用の負担も大きいです。

「連帯保証会社」と契約している場合は、この一連の手続きは保証会社が代わりにやってくれます。

さて、貸主にとって大きな問題となるのは、この発見が遅れることが多い、ということです。1~2ヶ月経過してから発見されるケースがほとんどです。警察が来て、テレビでも放映されて大騒ぎ、という事態になることもあります。
近隣には広く知れ渡ることになります。
この事実は、次に借りる人に告知しなければなりません。これを秘密にすると、損害賠償等のトラブルに発展する場合もあります。
ある程度の期間、貸すことができなくなることもあり得ますので、大家さんが損害を受けることになります。
その場合は、連帯保証人や相続人に、損害額を請求するかどうかを検討することになります。

「連帯保証会社」には、この損害賠償の義務が発生しません。

では、家賃を滞納していたのに、なぜ、発見が遅れたのでしょうか。
さいたま市のアパートの事例で検証してみます。

家賃が滞納していても、管理を任せている場合、貸主さんが直接に部屋に行って催促することはありません。家賃も「立て替え」で入ってくる場合が多いです。
管理会社も連帯保証会社に依頼していると、貸主さんと同じく、部屋に行って催促することはありません。
では、連帯保証会社はというと、さいたま市のケースでは、最初の3ヶ月くらいの催促は、提携しているカード会社に依頼しているシステムでした。
カード会社の初期の催促は電話だけなので、部屋には行かないのです。3ヶ月間は、誰も、家賃の催促で訪れることはありません。
保証会社が4ヶ月目から現地に行ったとしても、返事がなければメモなどを残して返ってきます。
長期滞納といっても、強引な行動に出るようなことを慎む、どちらかといえば「良心的な」保証会社だったのです。
ドアを「ドンドン」と叩いたり、夜討ち朝駆けで催促することは控えています。ここでも、1~2ヶ月は経過してしまいます。
合計6ヶ月くらい、本人と接触がなくても、家賃滞納上は問題が表面化しないケースでした。
このように貸主さんと管理会社と連帯保証会社の関係は、「家賃さえ貸主に支払われていればいい」というものではないことが、この一連の事件で分かりました。

各自治体は、どのように防ごうとしいてるのでしょうか。
札幌市のケースでは、電気やガスなどのライフライン事業者を交えた検討会議を開きました。
市側の「電気を止めるとき、市町村に情報提供はできないか」という提案に、事業者からは戸惑いの声が上がりました。
「個人情報保護法が、顧客の同意なしに個人データを提供することを制限している」という答えです。「滞納しているから生活に困窮しているとは限らない」とも。
プライバシーの問題は、貸主さんも管理会社も同じ問題を抱えています。
電気やガスや家賃を滞納しているからといって、すべて自治体が動き出すような事態になるわけではありません。この事件のようなことは「稀」であることは事実です。
結局、大切なことは入居者と「定期的に接触する」ように心がけることです。長期間の接触が出来ていないきは、身内への連絡を早めに、頻繁にとることが求められます。

 

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