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ホテルのフロントスタッフの大きな勘違い

大阪で定宿(じょうやど)にしているホテルがあります。
そのホテルは朝刊をサービスしてくれます。
僕の場合は日経新聞です。
最初に希望したら、その後はずっと、部屋まで届けてくれます。

先日、同じ系列の名古屋のホテルを利用しました。
そうしたら翌朝、日経新聞が届いていたのです。
僕のデータが系列にも伝わっているらしい。
リッツカールトンでもないのにスゴイですね。
宿泊費6000円~7000円のシティホテルですよ。

そこで、
フロントの若い男性スタッフ(彼は僕のチェックイン担当だった)に、
お礼と「褒め言葉」を用意して、質問しました。
「なぜ? 日経新聞を?」と
本人は笑顔のつもりです。

ところが彼は慌てて
「申し訳ありませんが、
当ホテルの朝刊サービスは日経新聞に限らせていただいています」と言いました。
少し、強い口調で。
表情も、心なしか険しいような。
「朝日とか読売とか、我儘を言わないでほしい」とでも言いたげな勢いです。

僕は僕で、朝からお礼を言おうと思っていたのに、少し不快になりました。
当然、お礼の言葉も言いそびれて、フロントをあとにしました。

フロントの彼は、僕の「なぜ?」という問いかけを「クレーム」と判断したのです。
だから、心の中で瞬時に身構えたのです。
彼が、僕の「なぜ、日経を?」という言葉をクレームと受け取った理由は何でしょう。
その理由は、彼の過去の経験によるのでしょう。

「なぜ」と言われたら、そのあとクレームが続く・・・という経験。
「日経新聞」と言われたら、「朝日新聞にしてくれ」・・・と言われた経験。
彼の脳が、
「なぜ」と「日経」というお客様のフレーズを「クレーム」と認知したのです。
だから脳は、次の「理不尽な主張」に対して防御を命じたのです。
このように人間は、過去の出来事を認知して、
それに「とらわれる」という大前提を持っています。

それは人間にとって欠かせない機能なのです。
太古の人間に、その機能がなかったら生き延びていくことが出来ませんでした。
(ライオンを危険と認知出来なかったら、逃げるという行動を起こせず食い殺されてしまう)
でも、この「認知」という機能は「やっかいな勘違い」も生み出します。
(経験ありますよね。なぜ、夫婦喧嘩が始まったのか理解できない時が)

では、彼はどうしたらいいのでしょうか。

まず、
「クレームはお客様からの文句で、自分にとっても不快なものである」
という認知を「取り去る」ことです。

では、クレームとは何か。
お客様からのリクエスト
お客様のニーズ
お客様からの「願い」    です。

ホテルにとって「カスタマー・リテンション」(このように言うか知らないが)は最重要のテーマのはずです。
お客様には何度も宿泊してもらいたいはずですね。
であれば、お客様の「ニーズ」や「願い」や「リクエスト」に対して、
瞬時に「不快」を感じて身構える、という「認知」は取り去った方がいいでしょう。

よく、お客様のクレームにも笑顔で平然と対応せよ、といいますね。
でも、これは違うと思います。
この教えは、クレームを「やっかいなもの」と認知することを前提としています。
だから、むりやり笑顔を、むりやり平静を装うことになります。

もうひとつ彼は、
クレームは「大ごと」に発展する、という認知も「取り去った」方がいいですね。

「〇号室のお客様がクレームを言ってるよ」と聞くだけで、
大声で「眉間に筋を浮かせて」文句を言っているお客様を連想してしまうのでしょう。
きっと過去に、そのような経験があったのだと思います。
でもお客様は初めから「怒髪が天を衝いて」いたのではなく、
彼の最初の対応に「そうさせる」何かがあった場合が多いのです。
僕の「なぜ日経」に過剰反応したのと同じように。

よほどのクレーマー(文句を言うことが目的であり趣味)でない限り、
お客様は「この状態を何とかしてほしい。お願い」と言っているのです。
(僕なんか、褒めようと思っていたんですよ)
誰も怒りたくなんかないですよ。
そのように認知できるようになったら、彼は一流のホテルマンになれますね。

賃貸管理でも、もっとも重要なのは「テナント・リテンション」です。
入居者に、出来るだけ長く暮らしてもらうこと・・・

そして、「賃貸管理にはクレームが付きもの」といいます。
誰もが「クレームはやっかい」と認知しています。
ひょっとしたら、先輩が後輩に最初に教えてしまう「ことがら」かもしれません。
「クレームには気を付けて対応しろよ」なんて・・・
こうして「誤った認知」が始まっていきます。

「テナント・リテンション」を考えるということは、
自分たちの管理業務の改善に取り組む、というのと同義語です。

自分たちの管理業務に「落ち度はない」と認識していたら、
あとは、オーナーに金を出させるか、
入居者さんに我慢してもらうしか「打つ手」はなくなります。

自分たちの管理業務を改善することで「テナント・リテンション」は実施されていくのです。

それが前提ならば、
お客様の「リクエスト」や「ニーズ」や「願い」は
願ってもない情報です。

クレームの認知を「そのように」変えてみませんか。
まずは「呼び名」から・・・
クレームというフレーズに対する「不快な」認知を完全に取り去るのが難しいから、別の名前をつけて呼ぶことにしてはどうでしょう。

ある会社では「サービス・リクエスト」と呼んでいます。

最後に・・・
でも、いったん脳が認知したものを「取り去る」のは至難のワザですね。
それが脳の本来の機能ですから。
(前述のように、太古では生きる術(すべ)だった)

だからどうするか・・・

「ああ、自分はいま、過去の認知にとらわれて動揺しているな」
と気づくことだそうです。
客観的に「気づく」と離れていくそうで。

この辺は、僕がいま勉強中の、
スポーツドクター・辻秀一先生の「フローマインド」によります。
全24回の講義のうち、まだ4~5回しか受けていないので、
全然、真理は分かっていないのですが・・・

クレームはリクエストだ、と言っておきながら、
「今月のオーナー情報誌の記事についてですけど」と言われると
「すわ、何か間違いがあったか」と、ドキッとしてしまうのが真実です。
聞いてみれば
「とても参考になりました」なんて感謝の言葉だったり、
「誤字・脱字がありました」なんて有難い指摘だったりするのですが。

 

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