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クリンレディの想い出

「共用部分の日常清掃」の想い出話です。

僕が最初に賃貸管理を経験した会社でのことです。
まだプロパティマネジメントと呼べるようなレベルではありません
管理戸数も500に近くになった頃、
当時7000戸を管理している会社に研修に行きました。
昭和62年のことだと記憶しています。

いろいろなことを学ばせていただきました。
そのとき学んだことが、僕の賃貸管理の基礎となっています。
その中に「日常清掃の必要性」がありました。
7000戸もあるのに、どの物件も綺麗に清掃されているのです。
ホントに感心しましたね。

僕たちの500戸といえば、
オーナー自ら清掃している物件や、
オーナーから清掃を依頼されて業者に「丸投げ」している物件はありましたが、
大部分は定期的な清掃を行っていない物件ばかりでした。
「これじゃイケナイ」という気持ちを強くして研修から帰ったのです。

まず、自分たちで全物件を清掃してみることにしました。
週一回のペースで一ヶ月間、実際に体感してみて、
その経験から「次を考えよう」と思いました。
日中は業務があるので朝早い時間帯に、
2班に分けて物件も振り分けました。
世帯数の多いマンションは全員で行うことにしました。
幸運にも夏が近かったので、水を使っても苦にはなりませんでした。

10戸のアパートなら二人で一時間で済むことや、
44戸のマンションに必要な掃除用具や、
水をどうやって調達するとか、
やってみると細かなことが分かってきました。
週一のペースで現場に行くことの大切さも、改めて実感します。

「共用部分の日常清掃」について把握できたところで、
清掃していただける部隊を編制することになりました。
イメージは女性のパートさん部隊です。
僕のいた会社は飲食店も経営していて、
僕たちは「チェーンストア理論」などをお勉強していましたし、
実際に百人近いパート・アルバイトでレストランを切り盛りもしていたので、
多くの方の力を借りて仕事することは「お上手」だったのです。

集める方法は「パート募集のチラシ」を手配りします。
ただ配るのではなく「これぞと思う人」を見つけて話しかけるのです。
スカウトみたいな感じですね。
ちょっと間違えると「怪しいお兄さん」になってしまいます。
これもレストランの頃の「人集め」のノウハウです。
たまたま、幼稚園で「出待ち」をしているお母さん方に遭遇したので、
ひとりひとりに「こんなお仕事、いかがですか」と声をかけてみました。
反応がいいので、他の幼稚園にも回って話しかけながら配りました。
偶然ですが、この行為が「最強部隊」を誕生させることになりました。

9人の方に集まっていただきましたが、全員が、幼稚園児を持つおママさんでした。
5人と4人のふたつのグルーブに分けて、それぞれにリーダーさんを任命します。
各グループに車をお持ちの方がいるので、
ガソリン代プラスアルファをお支払いすることで使わせてもらうことになりました。
部隊を「クリンレディ」と名づけました。

並行してオーナーさんを口説きます。
自ら清掃しているオーナーと、
定期的な清掃を行っていないオーナーさんに、
有料の日常清掃を提案するのです。
週一回の清掃で基本的な料金は家賃の2%としました。
5万円のワンルーム10戸のアパートの場合、
50万×2%で1万円の出費となります。
これで4回分です。
1回の清掃で2500円。
二人で1時間で終わらせれば赤字にはなりません。
(時給は600円くらいだったかな)
自分達でやったので、そんな計算もできるのです。
オーナーには、僕たちの一ヶ月清掃の成果を見てもらって、一所懸命に口説きました。
8割近くのオーナーが了解していただけました。

「クリンレディ」をAチームとBチームに分けて、
それぞれに200戸くらいの物件を担当してもらいます。
最初の週は、僕たちも同行して一緒に作業をします。
でも、教えるつもりが、教えられることの方が多いことに気づきました。
さすがに家事で培った経験は、
僕たちの「たった一ヶ月の経験」を上回っています。
それでも、掃除のペースというかスピード感は伝えることができました。

「クリンレディ」にお願いしたルールは以下の通りです。
・担当物件を週一回のペースで清掃すること
・「いつ行うか」は自由に決めていいこと(早朝や夕方以降の時間帯は避ける)
・基本的に出社せずに「直行・直帰」でいいこと
・リーダーは報告書を記入して作業した日に提出すること

いちいち会社に集まる必要はありません。
全員が集まれなくても、参加できる人だけで作業をします。
リーダーは報告書に、
・その日に参加したメンバーと、
・それぞれが参加した時間帯と、
・清掃した物件名と、
・気が付いたことを記入します。
僕たちは、清掃にかかる標準時間を把握しているので、
不正な申告があれば見破ることができます。
一度も、そのような申告は有りませんでしたが。

「クリンレディ」のメンバーによると、
「急に子供が熱を出しても、仲間に“ゴメンね”で済ませられるので、それがとても助る」とのこと。
都合が悪いときは、お互いに助け合うというカタチが出来上がったみたいです。

これで、わが管理物件は「見違えるように」綺麗になりました。
〇〇さんの物件はいつも綺麗ですね、と他社から言われたこともあります。
この状態を、家賃の2%でオーナーに提供できるのも、
「ひとつの優れた商品」だと実感しました。
その後の新しい管理契約では、
「日常清掃2%」を半強制的にお勧めすることになります。
満室(に近い状態)維持には欠かせないと、オーナーを説得しました。

「クリンレディ」が会社に来るときは、
ジーパンに長靴のまま「玄関から堂々と入ってきて」と告げました。
裏口からコソコソ入る必要はありません。
リーシングスタッフや管理スタッフにも、
「クリンレディ」を見かけたら「お疲れさま」と声をかけるように厳命しました。
「掃除のおばさん」なんて目でみたら「承知しないぞ」とも。
そして、3ヶ月に一回くらい食事会を催して労(ねぎら)いました。
たった一ヶ月の清掃経験だけど、
大変な作業をしてもらっていることが分かりますので。

「クリンレディ」は僕が会社を辞める時点で、
4から5チームに増えていたと思います。

ところで「クリンレディの掟」というものが自然と出来上がりました。
それは、
『クリンレディを辞めるときは、必ず後釜を紹介すること。
それなくしてクリンレディから足を洗うことはできない』
というもの。
もちろん冗談です。
でも子供が小学校にあがると、もっと働ける仕事に変わる方はいらっしゃいます。
そのときは、同じ幼稚園のママさんを紹介してくれることも多かったのです。

プロパティマネジメントのメニューに、
「週一以上」の日常清掃は必須です。
そうでないと、
物件力の維持も、
テナント・リテンションも、
予防メンテナンスの提案も、
うまくいかないでしょう。

いま「その会社」は、
グルーブ合わせれば1万戸くらいの管理物件になっているようです
でも、「クリンレディ」は、もういないでしょう。

遠い夏の日に、ホースで水をまきながら、
慣れない手つきでアパート清掃したことが想い出されます。

最後に、
「クリンレディ」を集めて発展させたことを、
まるで僕がやったように書きましたが、
ほとんどは、当時の僕の「相棒」がやりました。
彼はいま、埼玉県所沢方面のアパマンショップ加盟店の社長をやっています。
残念なことに、賃貸管理に力を入れていないのですが・・・・

 

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