終身借家権で「居座り」問題を解決



 超高齢社会が到来するといわれる。人口の3〜4分の1が高齢者となれば、当然住宅に与える影響も大きい。ただし、マイナス影響だけとは限らない。「高齢者居住安定確保法」によって始まった賃貸住宅供給策にはオーナーへのメリットも大きい。特に注目を集める「終身借家権」を改めて解説する。

昨年8月5日に新法が施工
 2015年には高齢者がいる世帯は現在より490万世帯増えて約2030万世帯にふくれ上がる。当然、賃貸住宅の重要な入居者層となっていくことは間違いない。
 これまでは高齢者の入居がすすまなかったが、しかし、その状況を変えるために新しく法律が作られた。それが「終身借家制度」だ。
 昨年、2月通常国会で成立、8月5日施行された「高齢者居住安定確保法」のひとつであり、今後の高齢者居住を大きくかえるものとして期待されている。

 制度をひとことでいえば高齢者単身、夫婦世帯等が終身にわたり安心して賃貸住宅に居住できる仕組みだ。借家人が生きている限り借家権が存続し、死亡したときに終了する。その際、この借家権は相続人に相続されない。つまり借家人一代限りの借家契約を結ぶことができる。
 不確定期限付借家権といえる。これまで日本の借地借家法では、このような不確定期限は認められていなかった。

 通常の借家権は財産権の一部となるため原則として相続の対象となる(民法896条)。この結果、強力な正当理由がない限り借家権が終了できず、「貸したが最後とられてしまう」ような事態をしばしば引きおこした。その結果、高齢者に対する貸し渋りを引きおこしてしまった。

 しかし、新法では未払い家賃、敷金以外の借家権の相続をなくした。これによって、オーナーにとっては安心して高齢者に貸すことができるようになったといえる。
 入居者の条件は60歳以上の高齢者で単身または同居者が高齢親族であること。住宅は高齢者の身体機能に対応し、段差のない床、手すりなどバリアフリー設備を有していることが条件となる。このバリアフリー工事については、国と自治体からの補助が受けられる。 都道府県知事の認可を受ければ工事に要したうちの一定額については補助がなされ、かつ入居者の紹介もしてもらうことができる。

 さらに期間付死亡時終了建物賃貸借制度も新設された。来たる高齢化社会に向けて経営の一手段となるか、期待は大きい。