賃貸住宅市場の展望 


 賃貸住宅市場が大きな変動を続けている。持ち家から賃貸志向へと言われているなかで入居者を重視した取り組みが欠かせなくなった。契約項目の見直しや原状回復費をどのように設定するかが今後の大きな課題だ。賃貸住宅を対象としたファンドも組成された。今後の賃貸住宅を展望してみた。

 地価の低迷で住宅所有志向が高まりにくいなかで、賃貸住宅で生活する傾向が強まっている。しかし、日本の賃貸住宅戸数は、1200万戸と言われているものの供給過剰感が顕著になった。大都市圏では受給バランスが均衡しているが、とくに、地方はモノ余りと表現して良さそうだ。

 一方、入居者は自己のライフスタイルを重視し、生活パターンに則った基準で住居を選択するようになっている。また、賃貸住宅に対する知識は高まり、契約面やハード面で個性・特徴のある賃貸住宅が求められ始めている。公共交通機関のターミナルから距離のある既存のアパートは空室が目立ち苦戦を強いられている。
 また、慣行的な入居契約の見直しも進んでいる。敷金・礼金・仲介料などを入居者本位に設定することで、入居率を高めようという動きが地方を中心に広がっている。この一環として敷金・礼金などを組み合わせた選択制のシステムなども登場した。今後、さらに地域特性に応じた契約手法が増加しそうだ。経年劣化を原状回復費用でカバーできなくなるなかで、敷金・保証金をどのように設定するかが課題になるだろう。

 契約手法の多様化は、マンスリーマンション、ウイークリーマンションと呼ばれる短期賃貸住宅の拡大を促進している。また、賃貸住宅の多様化は、高齢者対応住宅やペット同居型住宅の広がりを促している。とくに、高齢者対応住宅は、高齢者人口が急増する国内の年齢構成や2001年の高齢者安定居住法の施行により、見逃すことのできない市場であろう。
 さらにグローバル化を背景に外国人入居への対応も必要になる。慣習の違いや文化の違いをどのように理解してもらえるかが、オーナー、入居者の双方が安心して暮らせる賃貸住宅につながる。

 オーナーの物件情報の供給に欠かせなくなるのがインターネット活用などIT化の進展だ。現在でも入居者のインターネットの利用率が高まっているものの、今後もより重要性が増すものと見られている。不動産業者が自社のホームページを持ち、そのページヘのアクセス比率を高めることがオーナーの収益確保に寄与することになる。

 ファミリー向けは既存のアパートという概念からメゾネットタイプや70平方b以上の面積を持つ賃貸住宅などゆとりを感じさせる物件も増加し始めた。ワンルームも躯体がしっかりとした物件を求める動きが強い。
 賃貸住宅は、これまで重要だった立地条件と合わせて個性化の時代に対応しやすい特徴を打ち出す必要がある。