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各地に広がる敷金返還訴訟
各地で問題になっている敷金精算トラブル。昨年の大阪での集団訴訟以来、福岡で今年5月30日に起きた。京都でも5月24日に規模は小さいものの訴訟が起きた。今回は各地の状況を探った。
<福岡>
福岡では、去る5月30日、市内の元借主21人がオーナー、管理会社に、総額約700万円の返還を求めて福岡地裁と小倉簡裁に提訴した。
訴えによると、21人は福岡市内の賃貸住宅に入居し、昨夏から今春までに退去。明け渡し時に、1人当りに6万から83万円を原状回復費という名目で敷金から差し引かれたり、不足分を追加で請求された。
原告側は床や壁などはいずれも自然に損耗したもので、国土交通省の敷金に関するガイドラインに沿い、修繕費は家主側が負担すべきだと主張している。
原告側に訴えを起こした法的根拠となったのは、消費者契約法だ。消費者の利益を一方的に侵害する行為を禁じる同法に抵触するという言い分である。昨年起きた大阪での集団訴訟と同様の根拠としている。
原告側をバックアップするのは、弁護士や司法書士、不動産業者で組織された福岡敷金問題研究会。今年2月6日に立ち上げた研究会だ。
同研究会では今後、原状回復費用は家主負担であることを認識させたいとしている。
<京都>
京都では、3月24日に管理会社を相手取って元借主が提訴したのに続き、5月26日に4人と規模は小さいながら集団訴訟を起こした。
今回提訴されたのは、オーナー4人と京都市内に本社を持つ管理会社1社。敷金相当額にあたる損害賠償約80万円を求める訴えを京都地裁に起こした。
今回は「自然損耗を含めて、賃貸開始時の原状に回復しなければならない」とする条項を理由に敷金が返還されなかったことに対する提訴。原告側は自然損耗の回復費用を借主が負担する義務はなく、条項は公序良俗違反と主張している。
原告側をバックアップするのは京都敷金保証金弁護団の事務局長・長野浩三弁護士だ。
同弁護団は今年4月1日に発足。弁護士24人、司法書士14人で形成している。
京都では京都市民生活センターに寄せられる苦情の中で常に賃貸マンション・アパートがトップを占めているという。その多くは敷金・保証金返還に関するトラブルだ。
かつて、平成6年から弁護士が組織する敷金弁護団は存在していた。だが従来は個別の対応に終わっていた。今回の弁護団の発足は組織で問題にあたっていこうというものだ。
同事務局では入居者などから敷金問題に関する電話相談を受けているが、連日3〜4件の問い合わせがあるという。京都では3月以降敷金返還問題に対して関心が高まっているようだ。
<大阪>
敷金返還訴訟の元祖である大阪。集団訴訟をバックアップしているのが、敷金問題研究会だ。昨年2度にわたり集団提訴したその数は70件に上る。多くは、家主側も敷金を全額もしくは一部を返還することに応じ、訴訟手続き上又は手続き外の和解によって、解決している。
判決が出たものは3件ある。
1件はいわゆる認諾判決だが、残り2件は家主が最後まで争った。2件とも、裁判所は自然損耗を超える損傷があったとは認められないとして、借主の主張をほぼ全面的に認めた。自然損耗の修理費用を借主の負担とする契約上の根拠がないためか、判決では契約書の文言の解釈には触れられていないからだという。一方、家主が徹底的に争い、解決を見ていない案件もある。その大半が住宅金融公庫の融資を受けた物件か、特優賃物件である。
家主側の主張としては、「関西の他の物件では敷引ができるのに、公庫物件ができないのはおかしい」というものだ。これに対し、同研究会の代表を務める増田尚弁護士は次のように語る。「退去時に回収して何が悪いのかというのが家主の本音でしょう。しかし、本来はリフォーム費用に相当する経費・減価償却は家賃でまかなわれているはずです。アンフェアではないでしょうか」
今後、同研究会では、他の研究会などと連携していくつもりだ。
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