オーナーに勝ち目はあるか 〜敷金集団訴訟の現状〜   


  昨年大阪で起きた集団訴訟を筆頭に増え続ける敷金返還訴訟。入居者の立場が強くなっているかのように思える現在、持優賃物件での訴訟を取り上げる。


公社物件で被告側が勝訴

 昨年大阪で計70件の敷金返還を巡る集団提訴が起きた。判決の多くは家主側が敷金を全部、もしくは一部を返還することに応じることで、訴訟手続き上、手続き外の和解により解決している。

 現在判決がでているものは13件。うち貸主側の勝訴となっているものが3件。2件は大阪府住宅局供給公社があっせんしている物件だ。公社物件で、借主の勝訴となったケースは現在までないという。近畿地方に11個所ある住宅供給公社のうち2府4県にある6個所で独自の契約書上に「修繕費用負担区分表」が記載されており、自然損粍とみられる部分も借主負担とすることを明記している。
 これはいわゆる特優賃物件だ。

 入居者の主張は特優賃法の中で「借主に不当なことをおかしてはならない」と定められているにもかかわらず、その法律に違反しているのではないか、というもの。
 物件は、家賃のうちの一定金額を国が補助し、優良物件を低家賃で提供するという目的を持つ。家主は特優賃の目的に応じる義務があると主張したのだ。
貸主側の主張は、月々の家賃を低く抑えてあるため、退居後に原状回復費用を請求しても不合理ではないとするものだった。

 判決での借主敗訴理由は「契約書の自由」を裁判官は挙げた。当事者問が納得の上、結んでいるのだから、という判断によるものだったようだ。
 敷金問題研究会ではこの3件の事例について現在控訴中である。

入居者負担内容は明確に示す 

原状回復費用のオーナー負担割合が高まるなか、それを不服と考えるオーナーも多い。そもそも原状回復義務とは何なのだろう。
民法には、賃貸借終了時には目的物を返還しなければならないと定められている。しかし、原状回復については「賃借人は目的物を原状に復してこれに付属せしめたる物を収支する権利を有する」とされているのみだ。原状回復については法的な取り決めがなされていないのである。当時者間の合意に委ねられているのだ。


原状回復についてのQ&A

原状回復費用を入居者・オーナーどちらが負担すべきか争いはたえない。オーナー側からみた質問とその答えをQ&A形式で載せる。

Q1 自然損耗部分は原状回復の範囲に入るのですか。

A1 判例上、「原状回復費について特段の合意がないときは」通常の使用によって、生じる自然損粍は敷金から控除することはできません。

Q2 それでは、自然損耗で、入居者に負担してもらうことはできないのですか。

A2 細かく事例を分析していくと、特約が適切に文章化されたものはその効力を認められています。

Q3 敷金返還訴訟に勝つためにはどうしたら良いでしょうか。

A3 まずは、敷金特約を定めることです。賃貸期間に応じて敷金の一定割合を償却し、理由のいかんを問わず、返還しないという項目を記載する
のです。欠に、明確な特約条項をつくることです。履行可能な内容を一義的に特定して契約に盛り込みます。