第3回 「白色申告と青色申告」


 個人がアパートやマンション等の不動産の貸付け事業を行なう場合、その賃料についての所得は不動産所得となります。不動産所得は他の給与や年金、配当等の所得と合算されて課税されます。そして、この不動産所得を税務署に申請することにより、青色申告とすることができます。
 この青色申告とは、白色申告に対する特例で、いくつかの特典が与えられているのです。

青色申告の特典

 青色申告の特典の主なものとして、次のような項目があげられます。 @青色事業専従者給与の必要経費参入 A純損失の繰り越し控除 B青色申告特別控除 C各種の特別・割増償却 等々です。
 中でもとりわけ重要なのは@とAでしょう。所得税では、いっしょに生活をしている配偶者や親兄弟等の親族に対し、仕事を手伝ってもらった対価として給料を払い、経費とすることは認められていません。

 しかし、青色申告の場合には、これらの親族に給与が支払える仕組みになっているのです。ただし、後述する事業的規模(一定の規模以上で不動産賃貸業を行っている場合)に限ります。

 もう一つの特典についてですが、所得税では、不動産所得が赤字になってしまった場合、他の黒字の所得との通算ができることになっています。
 他の所得との通算をしても、なお赤字ある場合、青色申告においてはその赤字を翌年以降に繰り越すことが認められているのです。これを純損失の繰り越し控除といい、3年にわたり繰り越すことが可能です。
 賃貸物件の建築当初は何かと費用のかかるもの。借入金の利息から始まって、不動産取得税、登録免許税、抵当権の設定費用や保証料、測量費まで、かなりの金額にのぼります。資金面では採算があっても、減価償却費の計上等により、税務上は赤字になることも多いものです。

 白色申告では打ち切られてしまうこの赤字ですが、青色申告なら翌年以降3年間、繰り越すことができるのです。
青色申告の申請手続き
 青色申告を適用する場合、その年の3月15日までに青色申告承認申請書を所轄税務署に提出します。ただし、1月16日以降の年の中途で賃貸事業を開始した場合には、開始した日から2か月以内に提出すればよいことになっています。
不動産所得における事業的規模

 どの程度の規模なら事業的規模といえるのでしょうか。一般には5棟10室基準といって、一軒家なら5棟、アパート等なら10室程度以上が必要といわれています。ただ、これはあくまで一応の基準です。実際には貸付面積、賃料、管理状況等々の様々な条件を総合的に検討して判断されることになっています。