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賃貸経営の戦略を提案する

繁忙期も終わり、オーナーは今後の賃貸経営について「じっくり」と考えるときです。
賃貸管理会社は「それ」を提案すべきです。

築年数が10年を超えて、15年20年と経ったときに、賃貸経営の戦略が明確でないと「どう対処すべきか」迷うことがあります。
正しい判断をくだすために、どのような賃貸経営戦略を考えておくように提案すべきなのでしょうか。

いま、5万円で賃貸していた部屋が空いたとします。
2ヶ月以内(長くても3ヶ月)の空室期間で埋めることを見据えた、戦略的な募集条件を決める必要があります。

ひとつめの選択肢は、原状回復工事だけで、家賃も5万円のままで募集する、という方法。
これで2ヶ月以内に決まれば問題はありません。
このとき、「賃貸経営で避けられない事実」を確認しておく必要があります。
それは、「貸室の賃料は新築時が一番高く貸せて、時間の経過とともに下がり続ける」という事実です。
その理由は言うまでもなく、建物と設備が古くなることと、新築で最新設備の貸室が近隣に出現することです。
この現実の中で、原状回復のみ・家賃据え置きで、お客様に選んでいただけるのかどうか・・・。
判断を誤ると「2~3ヶ月で埋める」という計画が狂い、最も困るのは、2~3ヶ月が経過して「決まらないから次の手段を講じる」という事態です。
それでは、最初の3ヶ月が無駄になり、家賃収入の機会を失うことになりますから。

家賃を下げるのもリスクがある

そこで、家賃を下げて募集するという選択肢が、一方にあります。
たとえば8%下げて4万6千円で募集すれば、5万円よりは確実に早く決まるはずです。
もし、このお客様が、5年間(60ヶ月)暮らしていただいたと仮定すると、家賃の値下げによる収入ロスは24万円となります。

4千円(値下げ分)×60ヶ月=24万円

この収入ロスは家賃5万円で貸せたときの約5ヶ月分に相当します。

24万円÷5万円=4.8ヶ月

つまり、家賃を下げて5ヶ月早く決まるのか、逆に、家賃を下げなくても5ヶ月以上も余分に空くことはないか。
これが、退室時の募集条件を決めるときの「ひとつの判断基準」となるワケです。

ただし、家賃を下げることはリスクが発生することを知らなければなりません。
まず、他の借主が新しい募集条件に気付きますので、家賃の値下げを要求してきたり、あるいはそれがキッカケで、黙って退去していくかもしれません。
もうひとつは、家賃を下げ続けることによる「借主の質の低下」です。
入居時に値引きを要求する借主は、退去時には原状回復費用の負担に文句を言うかもしれません。
苦情やトラブルが多くなることが心配されます。一般的に、低予算のお客様の方が、細かなことに不満を言い、過分な要求をする傾向にあります。

予算とターゲットを決めたリフォーム

3つめは「リフォームを実施する」という選択肢です。
たとえば予算を、家賃を下げたときの収入ロスの24万円、とするのは「ひとつの」考え方ですね。
そして、家賃は下げないで5万円のままで募集します。24万円あれば、エアコン、テレビ付きドアホン、浴室乾燥機、洗濯機置き場、アクセントクロス等々、色々なことができます。
この部屋の弱点を埋めるために24万円という予算の中で、一番効果的なリフォームを考えるのです。
あるいは、もっと予算を上げて(家賃の1年分とか)、もっと大がかりなリフォームをするのも、この範疇に含まれます。
ユニットバスやキッチンセットを新しくすることも出来ます。

予算を決めた上でリフォームをすれば、何もせずに家賃据え置きで募集するよりも、早く決まる可能性は確実に高くなります。
家賃を下げて募集するより、苦情やトラブルが避けられます。何よりも、貸室の資産価値を上げることができます。
重要なのは、リフォーム予算を効果的に使うことです。そのために、この部屋に暮らしてもらう借主というターゲットを明確にして、そのターゲットが好む、設備やクロスの柄を選ぶことです。
ただし、この予算内で行うリフォームでは、地域のライバルに大きな差別化をはかることは出来ません。
新築時に要求されていなかった設備を、現在のニーズに合わせて追加したにすぎません。新築や築浅のライバル物件は当たり前に備えている仕様です。

そこで、4つめの選択肢は「リノベーション」です。
古くなった設備や内装を「元に戻す」のがリフォームなら、リノベーションは「新たな価値に再生させるもの」と言えるでしょう。
ユニットバスやキッチンセットを高級感のあるものに取り替えたり、場合によっては、部屋をスケルトンに戻して、間取を大きく変更したりします。
予算も、家賃の数年分を費やします。
「古い物件にそのようなコストをかけてどうか」という不安が当然にありますね。
そこでリノベーションのことを、賃貸経営の「第二の新築」「第二の創業」と捉えらています。
賃貸物件を40年以上保持することが前提でしたら、20年を経過した時点で「生まれ変わらせる」という考えです。
そして、地域のライバルと大きな差別化をはかり、家賃を最も高いクラスに設定します。

経営戦略が明確だから判断できる

このように、築15年~20年の物件の空室には多くの選択肢がありますが、「どれを選ぶか」を考えるときに重要なのが「賃貸経営戦略」の存在です。
この戦略で、

・原状回復以外は費用をかけずに家賃の値下げで対応する
・一定の予算の範囲でリフォームをする
・「第二の創業」というようなリノベーションを施す

などの選択肢を判断できます。

では、賃貸経営戦略とはどんなものでしょうか。
今回は「客層の限定」にスポットを当てて考えてみることにします。

商売には 様々な「客層」が存在することは ご存知の通りです。
たとえば、ハンバーグレストランにも、380円でランチを食べさせる店と、3000円のハンバーグを供する店があります。
どちらもハンバーグを食べたいお客様ですが、訪れる客層は異なります。
ユニクロはカシミアセーターを5千円で売り、有名ブランドは10万円で販売しています。

賃貸では、40㎡の貸室は同じ地域内で、4万円で探す人もいれば 7万や8万円で決める人もいます。
同じ広さの貸室でも、高収入の客層は「高くても良いもの」を求め、若者や収入の少ない人は「家賃で選ぶ」のです。
新築時は7万8万で貸せた40㎡の貸室ですが、20年が経てば老朽化によって家賃は下がり、やがて4万円になります。
そのときに、7万8万の客層に「住んでもらいたい」と思ったなら、タイミングをみてリノベーションをすることになるでしょう。
4万円の客層をターゲットとするなら、基本的には家賃の値下げで対応することになるでしょう。
あるいは、真ん中の5万6万の客層を狙うなら、予算を設定してリフォームを考えることになるでしょう。
築年の経過によって、どのような方法を選ぶかは、この「住んでもらいたい客層」をどこに想定するか、によります。
すなわち、「賃貸経営戦略をどのように設定するか」で決まってくるのです。
賃貸経営は短期間だけで判断するものではなく、中長期を俯瞰(ふかん)的に見ることが重要になりますので、このことに真剣に取り組む時間も必要なのではないでしょうか。

繁忙期が終わったこの時期が、オーナーに考えていただくのにちょうど良いのでは・・・と思います。

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