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オーナーの7つのリスク 「空室編」つづき

プロパティマネジメントの業務の中で、
「オーナーのリスクマネジメント」は最重要テーマです。
そのリスクを7つに分類してみました。
1番目が「空室のリスク」です。
そのためには、私たちに「空室対策の提案能力」が求められます。
しかしその前に、「オーナーの賃貸経営の目的」を明確にすることが大事です。
「目的」が分からなかったら、正しい「手段」を示すことができないからです。

前回、挙げた「賃貸経営の目的」は、
1 『最大収益を稼ぐ』
2 『税金対策』 でした。

3番目の賃貸経営の目的として
『土地に愛着がある』というのがあると思います。

例えば、
土地から購入して賃貸経営をするとき、
「収益(キャッシュフロー)を稼ぐ」のが最大目的なら、地方都市の方が利回りは高いはずです。
同じ5000万円を投資する場合、六本木と札幌に物件があったとしたら、札幌の方が「かなり」利回りが高いのが通常です。
利回りの差は10%以上もあるかもしれません。
それでも「六本木」を欲しがる人は「収益が最大の目的」ではないからです。
六本木に、あるいは東京都の中心にある土地に、愛着や魅力を持っているのです。
あるいは「収益」より「安定性」を優先しているのかもしれません。

地主系のオーナーも土地に愛着があります。
まず、「その土地」を維持する事が前提にあり、そのために「賃貸経営」を始めた方も多いはずです。
そのオーナーにとって賃貸経営は「手段」であり、「目的」ではないのですね。

4番目の賃貸経営の目的として
『インフレ対策』というのがあると思います。

ご存知の通り、現金の価値が下がった時に有利なのは「現物資産」です。
金や外貨や不動産ですね。
日本は「デフレ」が続いていますが、長いスパンでみれば、ずぅーっと右肩上がりです。
いつかは「インフレ」に転化するでしょうし、「その時期は近い」という声も多く聞きます。
なかには「ハイパーインフレ」の到来を唱える人もいますね。
「目先の利益」を最重要視しなくても、
「中長期的な視点」で所有するメリットを感じるオーナーもいらっしゃいます。

5番目として『レバレッジ効果』というのもあると思います。
ただしこれは、ガチガチの「不動産投資家」のケースですが。
(私たちのオーナーの中には「あまり居ない」タイプです)

金融機関から年3%で借りて賃貸物件を購入するとき、
「金融機関が3%の利回りを期待して賃貸物件に投資した」と考えます。
この賃貸物件が5%の利回りを達成すれば、差額の2%は投資家の利益になります。
「他人の褌(ふんどし)で相撲をとった」状態ですね。

理論的には、100%融資で購入できれば、投資金額ゼロでも収益を稼ぐ事ができます。
この状態を「レバレッジが効いている」と言います。

現金5000万円を持っているときに、
・5000万円の物件を1棟購入する
・5000万円の物件を、現金1000万円+借入4000万円で5棟購入する
という選択肢がある場合、
「レバレッジが効いている」ならば、借入で5棟を購入した方が、
投資した現金に対する利回りは高くなります。
(あくまでも理論ですので、実際にはもっと色々な角度から検討します。)

※注意
上記のケースで、実際には金融機関の取り分は3%ではなく、
Kパーセント(ローン定数)と言われる数値で計算されます。

僕の、賃貸管理や経営ノウハウの「師匠」のような方が、中古アパートを積極的に購入しています。
築20年以上の「駅近」限定ですが、購入した後は特に手を加えるわけでもなく、そのまま地元の管理業者さんに任せています。
稼働率は60~70%でも「可」としています。
そのままの状態で維持して5~10年後に売却したときに、しっかりと「売却益」を得る事を「目的」にしています(だから定期借家契約を採用しています)。
それを可能にする条件でしか購入しません。

ですから彼の「賃貸経営する目的」は、
・条件のいい「土地」を所有したい
・インフレにも対処したい
・銀行が低利で貸してくれる機会を活かしたい
というものが織り交ざっています。
前の方で説明した「目的」の、3番と4番と5番です。

決して「稼働率を最大にあげて、一棟から出来るだけ多くの『収益』を稼ぎたい」とは考えていないのです。

このようなオーナーさんに「空室対策」だと言って、
「リフォームをしましょう」
「新しい設備を追加しましょう」
「外壁を塗り替えましょう」
と提案しても「聞く耳」はありませんね。

「とにかく家賃を下げましょう」
というのも「不可」です。
極端に家賃を下げ過ぎると、物件の価値が下がってしまうからです。

「初期費用をゼロにしましょう」
「フリーレントにしましょう」
「広告料をもっと出しましょう」
という提案は「オッケイ」でしょう。

彼は最低でも、金融機関への返済金額(元利の合計額)はキャッシュとして残しつつ、
「売る時」を待つのです。

私たちは「空室対策」を考えたときに、
「満室にすること」だけを目的としてしまうかもしれません。
満室にするなら「賃料を下げる」のが一番の近道です。
事実、「空室を埋めるなら家賃を下げるしかないよ」と言っている社長さんもいました。
(僕は、この社長さんに賃貸管理を任せたくないです)

でも、築古の競争力の失せた物件で満室を維持しようとすれば、
・家賃等を下げるか
・リニューアルを実施するか
という選択にならざるを得ないでしょう。

そのとき、「オーナーの賃貸経営の目的は何なのか」を考える事は
決して意味のない事ではありません。

ただ多くの賃貸管理会社は、
「その目的」をオーナーから「聞き出していない」ことが多いでしょう。
また、素人のオーナーは、「その目的」を明確に認識していない場合も多いですよね。

プロパティマネジメントを行う前提に立つと、「出来るだけ」ですが、
オーナーとコミュニケーションを深めて、
オーナーとの間で「その目的」を共有することが大切になります。

そのために定期的な訪問や、ニュースレターの送付を行ってください。

※ニュースレターには、僕が提供する「得だね情報」をご活用ください。
https://www.geonetwork.co.jp/hissu/index.html

さて、私たちが提案する「空室対策」には、どんなものがあるでしょうか。

1 「リニューアル企画」の提案
・間取の変更
・設備の追加、取り替え
・内装の変更
・外観の変更(塗り替えも含む)

2 「入居条件や利用制限」を緩和
・ペット可とする(積極的に専用設備も追加する)
・楽器可とする(防音設備の追加も含む)
・高齢者対応とする

3 「賃料等の条件」で対応する
・賃料を下げる
・初期費用を下げる(ゼロにする)
・フリーレントを実施する(一定期間の賃料減額も含む)

4 不動産業者へのアピールポイントを増やす
・広告料を多くする
・担当者に褒美を出す
・案内図面を強化する
・鍵を現地に置く

5 現地(各部屋)でアピールする
・空室を定期的に掃除する
・モデルルーム化する(家具、照明器具、カーテン等)
・周辺マップで地域をアピール

6 社内を盛り上げる
・「本日の稼働率」を貼りだす
・物件の担当者を決める
・「空室対策会議」を定期で開く
・評価する(褒める、報奨金 等)

「空室対策」というものは、
皆さんで知恵を出し合ったり、
成功している他社の事例を集めたり、
数多くの「手段」を並べる事ができるはずです。

それらをオーナーさんに「提案・説得」していくのですが、
前提としていつも、「オーナーさんの賃貸経営の目的は何か」を考えましょう。
そうでないと、自分たちの考えや手法を「押しつける」ことになってしまいます。

さて、「7つのリスク」のうち、2番目以降のリスクは次回です。

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