管理を増やす営業を始めるときは
まずターゲットとなる大家さんを決める必要があります。
今回は、大家さんといっても色々とある中で
どの大家さんからアプローチしていくべきか、
という、順序付けのお話をいたします。
まず大家さんを4つのグループに分けてみます。
図のように、横軸に、管理を必要としている大家さんか、
必要と考えていない大家さんかでラインを引きます。
左にいくほど、管理を必要と考えている。
右に行くほど、管理の必要を理解していない大家さん、です。
つぎに縦軸に、
あなたと信頼関係が深い大家さんか、ほとんどゼロかでラインを引きます。
下にいくほど、あなたとの関係性が深く、
上に行くほど、あなたとの関係性は薄い大家さんになります。
こうして、4つの大家さんに分かれました。
あなたが、
これから管理を増やすために大家さんにアプローチするとしたら、
優先順位をどう付けるかを決めてほしいのです。
まず最初にアプローチすべきは、左の下の、
管理を必要としていて、あなたとの関係性の深い大家さんでしょう。
需要があり、信頼関係も深いのですから当然ですね。
ここに属する大家さんは、
すでに管理させていただいている「管理オーナー」になります。
この管理させていただいている大家さんが
あなたが管理している物件の他にも所有している物件があるなら、
そちらも管理させていただくためのアプローチをするべきです。
あなたの賃貸管理に満足しているなら
その申し出を断る理由はないはずです。
さらに大家さんは、多くの大家さんの知人がいるはずですから、
ご紹介もいただけるはずです。
真っ先に、このターゲットにアプローチすべきです。
保険会社は営業を担当する新人に、
まず最初に家族や親せきや友達から、契約を取ってくるように言いますが、
それと同じですね。
このブロックに、アプローチできる大家さんがいるなら、
すぐにそうしてください。
管理している大家さん以外でも、
社長やスタッフの親戚や友人が大家さんの場合も、ここに当てはまります。
銀行や、工務店や、ゼネコンや、税理士や、保険会社など、
紹介が得られそうなところには、根こそぎに、声をかけてはどうでしょう。
このカテゴリーに、
まだアプローチしていない大家さんがいないか、再チェックしてください。
つぎのターゲットは、右の下の、信頼関係は成り立っているのに、
賃貸管理の必要性を理解していない大家さんです。
このブロックに属するのは、
専任媒介や一般媒介で、募集だけ引き受けている大家さんです。
特に専任の大家さんの場合は、
「管理料は貰っていないのに、
“管理のようなこと”を無料でやっている」ことが多くあります。
古くからのお付き合いの大家さんに多いですね。
この大家さんは、これから積極的に管理を増やしていくのなら、
最初に整理・整頓しておくべきではないでしょうか。
すでに信頼関係はあるのですから、
「賃貸管理の必要性」を理解していただけばよいのです。
無料で“管理のようなこと”をしていると、
いまさら「管理の必要性」なんて説得できないと思うかもしれません。
しかし、多くの場合は、
無料でやっている管理と有料の管理とは
内容と質において差があるものです。
専任大家さんは、それで損をされているかもしれません。
たとえば空室が長引いたときの対応などは、媒介物件は管理物件の後回しになります。
トラブルが起こっても対応が、やはり後回しになります。
「無料(ただ)だから」というスタッフさんの思いが行動に出るのが普通です。
これから賃貸管理という商品を売っていこう、というときに
同じ地域に、「無料(ただ)で管理している」大家さんがいるのは問題です。
整理・整頓を検討すべきではないでしょうか。
具体的な行動として、まずは意思表示をするところから始めましょう。
「いままで、無料でやらせていただきましたが、
本来は〇〇の料金をいただいています」
「今後は、有料の賃貸管理契約に移行させていただくか、
お客様をご紹介させていただくだけの媒介契約にするか、ご検討ください」
今まで通りの「無料(ただ)管理」を続けることは難しい、ご理解ください、
という意思表示です。
ここまで強く言えるかどうかは、今後の大家さんとの関係にもよりますが、
いずれにしても、会社の方針を決める必要があります。
ただし、
今まで無料(ただ)で管理してきた責任はありますので、
「7%コースの管理メニューを5%で」とか
「最初の半年は無料(ただ)で」とかの譲歩はあってもよいでしょう。
特に、無料の管理をしていない、本来の媒介大家さんも同様です。
信頼関係はあるが、賃貸管理の必要性を理解していない大家さんなので、
その大家さんが、あなたの賃貸管理で得られるメリットを説明してください。
大家さんによって、得られるメリットは違う場合がありますので、
その大家さんに合わせてプレゼンしてください。
この、媒介大家さんへの管理アプローチは、
しっかりと戦略を決めて、
必要なツールなどを用意して、
手順を決めて実施するようにしてください。
次は、左の上の、
賃貸管理の必要性は理解しているが、
あなたとの関係性が薄いか、まったくゼロの大家さんのブロックです。
この大家さんは、すでに他社が管理している可能性が高いです。
もしそうでなくても、自ら行動して管理会社を探している場合がありますから、
ライバルが多いと思われます。
「すでに他社が管理している」ということは、
「他社の管理を奪い取るかどうか」という、
会社の方針を決めなければなりません。
古くから売買仲介をしている場合などは、これが問題になります。
もし「奪い取ることも辞さない」という方針でも、
A社とB社とC社の物件には手を出さない、とか、
地元業者には手を出さないが、多店舗展開の大手は遠慮しないとか、
サブリース物件は築10年までアプローチしない、
というような方針を決める必要があります。
地元業者が、お互いに遠慮しているスキに
多店舗展開の大手が「かっさらっていく」という事もあり得ますので、
その点も考えなければなりません。
大事なのは、
「俺の大家さん」とか「あの会社の大家さん」とか言っていても
大家さんは誰のものでもありません。
一番に考慮すべきは「大家さんの利益」です。
あなたの管理の方が大家さんの利益に貢献できるなら、
そして大家さんが望むなら
話し合いをしてでも、管理させていただくことが正解のようにも思います。
もうひとつ、このブロックの大家さんは、
すでに、他社に管理を任せているので、
あなたの賃貸管理に切り替える必要性を理解していません。
このブロックの大家さんは管理料を負担することは了解していますが、
あなたのことを知らない大家さんなので、
順序としては、関係性を築くことが先になります。
その過程で、現状の管理に対する不満を探ってください。
あなたの管理に切り替えたとき、大家さんの「何」が良くなるのか、
具体的に説明できるかどうかが、プレゼンテーションのポイントです。
そして最後が、右の上の、
賃貸管理の必要性も理解していなくて、
あなたとの関係性も薄い大家さんです。
このブロックには、自主管理の大家さんがいます。
自主管理の大家さんは、
管理会社に賃貸管理を依頼するメリットを理解していません。
自分でやれば費用もかかりませんし、
督促などは自分がやった方が「よっぽど上手い」と思っているかもしれません。
いままでも、他の会社から、賃貸管理の営業を受けたはずですが、
それを断ってきた大家さんです。
ですから、この大家さんの場合は、
図の上から下へ移行していただくこと。
つまり関係性作りが先で、
つぎに右から左へ移行して、あなたの賃貸管理の必要性を理解していただく、
という順序になります。
まず、関係性作りが先で、
そのあとに管理の必要性を理解していただくのです。
そのために、オーナーニュースレターなどのダイレクトメールを、
送り続けていただきたいのです。
賃貸管理に感じるメリットは大家さんごとに違いますから、
あなたの管理の「何」が、
目の前の大家さんにメリットを与えることができるか、
関係性を作る過程で、聞き出しておく必要があります。
そして、管理料(たとえば5%)をいただく代わりに、
管理料以上の、金額に置き換えたメリットがあることを証明するのです。
4つのブロックの中で、
この大家さんが営業的に、一番難しいでしょう。
でも、おそらく、ここが主戦場になると思います。
これから、あなたが、管理営業する大家さんは、
圧倒的にこのブロックに所属しています。
まずは、関係性を構築する必要がありますので、
そのためにオーナーリストを作って、
ダイレクトメールを送り始めてください。
次の記事では
「一般媒介から入る戦略」について解説します。