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「わがエリア」を知っていますか?

私たちのエリアの賃貸マーケットには、「需給のギャップ」があります。
おそらく、需要と供給のバランスのとれたエリアは、日本のどこにも存在しないでしょう。
もしあるとすれば「偶然の産物」です。
それくらい供給する側(建設会社と動産会社)は、需要を(それほど)考慮せずに建ててきました。
(自分もその中の一人です)

逆に考えれば、
築20年を超えて「空室」に悩んでいる物件は、
その「需給ギャップ空白ゾーン」を狙えば、
「人気物件」に生まれ変わるのではないでしょうか。

ただ、オーナーは多額の投資をするには「自信」が持てません。
提案する私たちにも「信念」が不足しています。
それを解決するのは「科学的なデータの裏付け」ではないでしょうか。

そのデータに一番近くいるのは、私たち「プロパティマネージャー」です。

前回の記事の最後で、
データを手に入れるのは「簡単ですよね?」と書きましたが、
それほど簡単ではありませんね。
続きを読んでもらいたくて、ちょっと前宣伝をし過ぎました(笑)。

私たちのエリアに、どんな物件が供給されているか?
どのように知ることができるでしょうか。

僕の一番のお薦めは「地域調査」の実施です。
エリアを決めて、一軒一軒、見て回るのです。
その結果、エリア内に建っているアパートと賃貸マンションの、
・間取と面積
・構造とタイプ
・築年数
・管理(募集)会社
・オーナーの氏名と住所
・現在の空室
・それぞれの戸数
・写真
などがデータ化されます。

※間取と面積は外観から判断します。案内図面が手に入れば照合します。
※築年数は法務局か、外観から判断します。
※オーナーの氏名と住所は法務局(実際にはインターネット)で調べます。

いかがでしょうか。
このデータを欲しくはないですか?
もし、このデータを一式で売っていたら、いくらの値段をつけるでしょうか。
ライバルの賃貸管理会社には売らせず、自社で独占できるとしたら、
どんな条件を提示しますか?

実際に25年くらい前、(当時の)私たちのエリアの、
農地と所有者のリストを売りに来た業者がいました。
パソコンのない時代なので、「青焼き」でコピーした紙を製本した代物です。
3~4冊のセットでした。
「農協から依頼されて作りましたが、あとワンセット余分にあります」
こう言われて社長は100万円で購入していました。
当時の僕たちの目的は賃貸物件の建築推進でしたから、そのデータは役に立つと判断したのです。

このデータが力を発揮したかどうかは別として、その会社は現在、
グループ合わせれば10000万を超える管理物件を抱えています。

もうひとつ余談を披露しますが、
僕の仲間内(不動産関連ではない)で、半ば本気で、
地域調査を請け負うとしたら、「いくらで売れる?」という話題が出ています。
あるいは「依頼なし」で作ったデータ一式は、
そのエリアにある賃貸管理会社全てに売り込んだら「儲かるだろうね」みたいな話をしています。

もちろん実際にやることはないでしょうが・・・・

もうひとつ、この地域調査は、
私たち「プロパティマネジメント」のマーケティングにも役立ちます。
私たちのお客様である「オーナーリスト」が手に入るのですから。
そのオーナーが、
どこにアパートを持っているか、
どこに賃貸マンションを所有しているか、
どこに月極駐車場を経営しているか、が分かるリストです。

そんなわけで、苦労して作る「地域データ」ですが、それだけの価値はあると思います。

実際に僕たちが「地域調査」したときは、
最初の最重要エリアは自分たちでやりましたが、
もっと範囲を広げた時はパートさんにお願いしました。
(もっとも当時調べたのは物件名・戸数・タイプ・オーナーの氏名と住所 だけでしたが)

あるいは、新人にやってもらうのも「地域を覚える」ので良いと思います。

もうひとつ「供給状況」を知る方法として、こんな事が可能かもしれません。

先日、「業界のデータを扱う会社」の方と打ち合わせをしました。
先方の目的は「賃貸の現場で家賃査定をどのようにしているか」
を知りたい、ということでした。

その際に僕が逆質問をしました。
「御社には地域ごとの、「間取別物件供給」が分かるようなデータはありますか」
「ありますよ」と簡単に答えてくれました。
どの程度のデータか分かりませんし、それを提供してくれる条件も聞いていませんが、「可能性はあるな」と思いました。

次は「需要」のデータです。
私たちのエリアには「どんな間取やタイプ」を探すお客様がいるのでしょう。

この答えは、皆さんの現場にありますね。

「問合せ」や「来店」のお客様の、希望条件をデータ化すればいいのです。
キチンと実施している会社もあると思います。
(皆さんのところは、きっとそうでしょう)

ただし、分類の方法は検討が必要です。

単に「間取」だけで分類すると、正確なニーズが分かりません。
2LDKを探す人が“カップル”なのか“夫婦と子供”なのか判別できないですね。
(ないよりは、もちろん有った方がいいのですが)

まず「理想」の分類を申し上げますと、
「家族構成」ごとのシェアを知りたいです。

家族構成とは前回も書きましたが、下記のように分類しています。
・若い単身世帯(学生、20代の社会人)
・少し収入のある単身世帯(30代の社会人)
・カップル(新婚、DINKS)
・夫婦と子供(上の子が就学前)
・夫婦と子供(小学生以上)
・その他(老夫婦・母子家庭など)

次に、その「家族構成ごとの間取ニーズ」を知りたいです。
例として「カップルが希望する間取・面積・家賃」の比率は、
・1LDK(35~45m2) 6~6.5万円 20%
・2DK(35~45m2) 6~6.5万円 5%
・2LDK(50~60m2) 7.5~8.5万円 60%
・3DK(50~60m2) 7.5~8.5万円 10%
・3LDK(65~75m2) 9~10万円 5%
みたいな感じです。

随分細かくて「面倒だな」「無理だな」と思いますか?
面談時の「聞き取りシート」も変更しなくてはならないでしょう。
でも、このようなデータが持てたら、様々なことに活用できるようになります。

しかし、理想を掲げても「やらなければゼロ」ですから、
「実行できる範囲」で分析を始めましょう。

そうすると、まずデータとして最も欲しいのは、「家族構成ごとのシェア」です。
「家族構成ごとの間取ニーズ」は、ある程度は予想することでカバーできますね。
とにかく「何もしない」より、「出来ることを」やりましょう。

オーナーさんは、いま管理を任せている会社から、「このような」データは見せられていないでしょう。
だから、もし見せたら感動(大袈裟かな)するのではないでしょうか。

自分の物件が、「需要は少なくて供給の多い」タイプに入っていたら、焦ると思いますね。
「空いたら、なかなか決まらないかな」と思ってもらえるかもしれません。
そうすれば、「現在の借主さんを大切にしよう」という気持になるかかもしれません。
私たちの「空室対策提案」にも、もっと真剣に耳を傾けて貰えるようになりますよね。

でも、もし、ライバル会社から当社のオーナーに「このような」データを持ちこまれたら、困ってしまうでしょう。
焦りませんか?

「プロパティマネジメント」の目的は、
オーナーの不動産から得られる収益を最大にすることと、
オーナーの不動産の価値を高めること、  です。

そのためには、オーナーの不動産が存在する近隣エリアのマーケットについては、十分に把握していなければなりません。

そしてそれは、自分がサービスを提供するエリアと同一ですから、
「自分のためのマーケットリサーチ」でもあるわけです。

長年の経験から導き出された「勘」だけに頼るのは、
いかがなものでしょうか。

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