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客付け力とは『企画力』です

先日ある会合で「賃貸仲介の業務に将来はない」みたいな話をしました。
(いつものように極端な物言いなのです)

参加者のほとんどが、僕の主張に「同意」していない様子でした。

「だって、管理物件の客付けのためには、仲介業務は不可欠では?」
という反論も出ました。
よく聞かれる意見です。

そこで今日のテーマは
「客付け力とは『営業力ではなく企画力』です」

プロパティマネジメントにとって最も重要なのは「自社物件の稼働率」です。
稼働率を上げるための手段として一番頼もしいのは「自社で決める力」なのでしょう。
「他力本願」では頼りないから・・・・・
だから「仲介業務」に力を入れる必要がある。
プロパティマネジメントと仲介業務は切っても切れない仲、なのだと。

この考えに反対するつもりはありません。
両方とも上手くいけば良い、と思います。

両方とも上手くいっている事例をひとつ紹介しましょう。

先日、京都で18,000室を管理する賃貸管理会社さんに訪問しました。
目的は、皆さんに読んでいただくレポートを作成するためです。
こちらの取締役と知り合ったのはCPMの公式セミナーでした。
一緒に同じ資格を目指して机を並べた仲間です。

18,000室の管理のために16ヶ所の管理センターを展開しています。
その管理物件の客付けのために、11ヶ所の営業センターを出店しています。
でも、実際に「管理物件」を営業センターが決めているのは25%程度です。
それ以外の75%は他社からの「客付け」に頼っています。
もちろん各営業センターは、管理物件の25%を決めただけでは経営が成り立たないので、
他社物件を一所懸命に「客付け」することになります。

営業センターごとに毎月P/L(損益計算書)を作成していますが、
年間を通して赤字のセンターはありません。
それぞれの店舗が「しっかり稼いで」いるのです。

元々は、管理物件の客付けを目的に作られた「仲介部門」でした。
でも今は、まったく別の部門として、それぞれが独立採算で成り立っています。
16ヶ所の管理センターを束ねる「取締役管理部長」と、
11ヶ所の営業センターを束ねる「取締役営業本部長」という
優れたリーダーの存在が不可欠です。

そういう意味で、とても(非常に)上手くいっている事例です。
(詳しいレポートは「得だね会員」に近日に公開いたします。楽しみにしてください)

次は、上手くいっていない(?)例・・・・・・です。

僕が最初に賃貸管理を経験させてもらった会社のことですが、
現在はグループを合わせて10,000室以上の管理をしています。

数年前に告別式で取締役(僕の後輩ですが)から聞いた話では、
「当社の仲介店舗部門単独では赤字ですよ。管理物件があるから必要な部門ですけど」
とのことでした。
おそらくここも、自社物件を決めている比率は25~30%程度ではないかと推察します。

僕は、「赤字なら、思い切って閉鎖する道もあるのでは・・・・?」
と思いました。

仲介店舗部門の人材を全て「物件の仕入業務」に投入した方が将来性があるのでは?・・・・・と。
当面のキャッシュフローに不足がなければ、の話ですが。

僕の考えは「無責任」な発想だとは思います。
スタッフが20人を超える部門を、そんな簡単に閉鎖は出来ません。

でも、おそらく間違いないのは、
仲介店舗部門を利益が出るように率いていくリーダーが不在であること、です。
これが京都の管理会社さんとの差です。
「仲介」が「管理」に寄りかかっている構図ですね。
各店舗に独立採算の気概がない、のです
この「甘い考え」が根本的な問題なのかな、と分析しました。

そして、仲介を「管理物件の客付けのため」と捉えると
このように「なってしまう」可能性があるのです。
だから、
プロパティマネジメント(賃貸管理でもいいですが)を行う会社が「仲介」をするなら、
「独立採算」の精神を持つべきと思います。
(将来的にでも)それぞれが利益が出るようにしなければなれません。

「両方合わせて利益が出てれば良いのでは?」
という意見もあるかもしれません。

この考えは、
・どっちかが、どっちかの利益を食っている
・どっちも中途半端になっている
・オーナーは中途半端な仕事に満足しない
・部屋を探しているお客様だって、中途半端な仲介に満足しない

という事態を招いている可能性はないでしょうか。

「管理物件の客付け」にとって仲介部門は「必要不可欠」でしょうか。

「必要」だとは思いますが「不可欠」とは思いません。
つまり、仲介部門がなくても「稼働率90%以上」を達成することは不可能ではないでしょう。

何故かというと、
「客付け」するのに一番必要なのは「営業力」というより「企画力」だから、です。

空室が有り余っていて、
しかも、どれも同じような間取・設備の物件だらけのとき、
「営業力」だけを頼りに解決しようとするのは無理があります。

無理に入れても、すぐに出て行ってしまいます。
その部屋に「住み続ける」理由がないのですから。
入居期間の短い「客付け」をしても稼働率アップに貢献しません。

やはり、物件そのものに魅力を持たせる「企画力」が重要です。
「企画力」があれば「営業力」も生きます。
でも「営業力」がなくても「企画力」があれば部屋は埋まります。

プロパティマネジメントでいう「企画力」は表現を変えると、
「空室に『商品力』をもたらす魔法の力」と言えるかもしれません。

具体的な「企画力」については次回に考えます。

今回のメールマガジンでは、
「仲介業務をやめよう」と言いたかったのではありません(念のために)。
少し遠目から見て考えてはどうでしょうか。

・仲介と管理が、それぞれ独立採算で成り立っているか
あるいは将来成り立つ方向に向かっているか

・一人の人間が仲介と管理を担当して、本当に「いい仕事」ができるものか
・仲介のエネルギーを「物件仕入」に回した方が将来の経営安定に繋がらないか
・いま「物件仕入」のために全力を投入しているか

皆さんの「現場の事情」を無視した提案かもしれません。
それは百も承知の上で、採用できる「捉え方」があったら採用してください。

ただし、「絵空事」とは思っていません。
僕がいまコンサルティングを引き受けるなら、この方針を押し通させてもらいます。
(もう齢なので新たなコンサルは受けていませんが)

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