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キャッシュフロー経営のすすめ

最近では賃貸オーナーにも「個人投資家」が増えているようです。
サラリーマンの方もいますし、将来の年金に不安をお持ちの方が、勉強しながら不動産に投資しています。
投資ですから目的がはっきりしています。「所有している間の家賃収入」と「売却した時の利益」を足した額が、自分の投資金額に見合うかを検討して、そして実行します。

ちょっと余談ですが、投資家が勉強する基本的な知識があります。それは、「現在のお金と将来のお金は価値が違う」ということです。 有名な話に、「インディアンがマンハッタン島を24ドルで売った」というのがあります。正確には、「1626年に、オランダ西インド会社がマンハッタンを、インディアンたちから24ドル相当で買い取った」と言われています。(出典:ウィキペディア 「マンハッタン」)
あの、ニューヨーク市の中心街である島をたった24ドルで・・・、という話を聞くと、インディアンが騙されたのではないか、と勘繰りたくもなりますが、その考えには「時間の経過」の概念が含まれていません。
今から384年前の24ドルは、今の貨幣価値に直すといくらになるのでしょうか。もし、この間のインフレ率を平均3%で計算すると、24ドルは384年後に「204万ドル」となっています。
平均5%とすると、なんと「32億877万ドル」です。6%なら「1251億1709万ドル」という途方もない数字になります(複利で計算されるので、1%違っただけで凄い数字になりますね)。
つまりインディアンが売ったのは現在の24ドルではない、というわけです。(売ったというのは疑わしいですが。。。 もともとインディアンに土地を売るという概念はないそうなので)

さて大袈裟な例え話を持ち出しましたが、つまり、今年の家賃収入と来年の家賃収入は、同額であっても価値が違う、と言うことです。
もし前年のキャッシュフロー(家賃収入から運営費と負債支払を引いた額)が200万円で、今年のキャッシュフローも同額の200万円だとしたら、2%程度の物価上昇が見込まれるとした場合、200万円から2%を割引計算して196万円が現在の価値と評価します。
つまり同じ200万円では「キャッシュフローが減った」と評価するのですね。デフレ基調の日本で、しかも家賃相場が下がり続けている市況では同調しにくい考え方ですが、これが不動産投資を実施する場合の基本的な考え方です(DCF法と言います)。
話をもとに戻すと、そんな個人投資家が皆さんの競争相手として近所に賃貸住宅を所有し始めているわけです。ライバルの事は知っていて損はないと思いますし、真剣に不動産投資を勉強している投資家は、かなり手強いライバルですから、積極的に知って、良いところは真似した方がいいくらいだと思います。
彼らの目的が、「所有している間の家賃収入」と「売却した時の利益」と説明しましたが、1000万円で購入したアパートを、5年後に1000万円で売却したときに、「買った金額と同じなので損得なし」とは考えず、物価上昇+期待利回りを計算すると「損をした」ということになります。
2%程度の物価上昇と見るならば1104万円で売れて、はじめて「損得なし」となります。

そこで、3つほどの提案をさせていただきます。

①予算を立てましょう。
先月号で説明させていただいた数値のなかで、最も重要なのは「営業純利益」と「キャッシュフロー」です。
営業純利益(NOI)・・・・実際の家賃収益からローン支払以外の運営費(固定資産税や保険料も)を差し引いた額
キャッシュフロー・・・・営業純利益から住宅ローンの支払い額(元利とも)を差し引いた額
※下記の表を思い出してください。

①総潜在収入(GPI)
-値引き損
-空き損
-未回収損
②実効総収入(EGI)
-運営費
③営業純利益(NOI)
-年間負債支払い額
④税引き前のキャッシュフロー

この「営業純利益」と「キャッシュフロー」で予算を立ててみてはいかがでしょうか。
予算ですからピッタリとは行かないでしょうが、予算なしで結果の数値を見ているだけだと、羅針盤のない船の航海のようになってしまいます。そして、予算と結果の違いを凝視し続けていると、「予算を達成するためには」という工夫が生まれるような気がします。

②キャッシュフローを重視しよう
サラリーマンの家計費で例えると、給料が入り、生活に必要なお金(家賃や食費や衣服費など)を使った後に月末に残ったお金がキャッシュフローです。
これが毎月残れば貯金が増えていきます。
ところが、車を購入したくなって計算したところ、ローンの支払いと駐車場・ガソリン代が増えるので、月末に残るお金はゼロになります。これを実行すると毎月ギリギリの生活になりますし、万一の出費があったら対応出来ません。マイナスのキャッシュフロー、つまり家計費が赤字になる危険性があります。
そこで、毎月残ったお金を積み立てて、車が買える額になってから現金で購入すれば、貯金は続けられるようになります。つまり大切なのは「毎月、キャッシュフローをどれだけ残せるか」です。
賃貸経営でこれが十分にないと、築15年~20年が経った時に必要なリフォーム工事の原資が準備できません。
次のポイントとして、たとえば、満室にするために家賃の値下げを考えたときに(こんな情勢ですので家賃の値下げもやむを得ない場合もあるでしょう)、それが全部屋に波及してキャッシュフローが極端に下がるなら、家賃を下げることが正しいか検討すべきです。
「満室」は賃貸経営の目的ではなく手段です。目の前の空室を無くすために家賃を下げ、そのためにキャッシュフローが極端に下がるのは、正しい選択か考える必要があると思います。もちろん、長い間 空室が続くとキャッシュフローはもっと減りますので部屋は稼働させなければなりません。それが第一です。
ただ、家賃を下げる前にやるべき事はないか、キャッシュフロー重視なら そう考えます。
経費が増える設備の追加工事やリフォーム工事も、ローンやリースを組めば一時の出費にはなりません。それらの分割支払い額を組み込んでも、家賃が据え置かれたり増やすことが可能ならば、キャッシュフローが守れることになります。
そういう意味で、キャッシュフローを重視した経営はいかがでしょうか。

③「いくらで売れるか」意識する
多くの方が「土地有効活用」として賃貸経営を選ばれたのではないでしょうか。なので、初めから「物件を売る」という概念はないと思います。もちろん売らなくて結構だと思います。
ただ、「いくらで売れるか」という感覚は持たれた方がいいと思います。なぜなら、賃貸物件の価値は、その物件が「稼いでいる金額」で計算されるからです。
「売れる価格」は賃貸物件の通信簿になります。
最初に賃貸経営を始めるときに投資した金額は、建物の取得額(建築費用等)と土地の価格の合計です(土地は相続で取得した場合でも投資額に算入すべきですね)。

土地1億円+建物5000万の合計

1億5000万円で始めた投資が10年後に売れる価格が1億円2000万円になっていたら大変です。
10年後の1億円2000万円は現在の価値に直すと9840万円ですから、およそ5000万円の資産が消えたことになってしまいます(物価上昇率を2%で計算した場合です)。
大変なことですね。

一体、誰が、1億円2000万円と査定するのか、ということが疑問だと思いますが、その時点の市場価値というもので算定できます。
事業を始めたときの年間家賃収入が600万円だったとすると、
1億5000万円の投資に対する表面利回りは4%になります。

(600万円÷1億5000万円)

10年後の年間家賃収入が480万円に減っていると、利回り4%で計算した時に、その価格は1億2000万円と計算できます。

(480万円÷4%)

600万円が480万円に減るというのは、家賃が2割減になったということなので、あり得ない数字ではないと思います。 土地も建物も残っているし、賃貸の収支も赤字ではないのだから、と考えていると、実態は「大損」ということもあり得ますね。
昔のように土地の値段が上がり続けたときは、収支が悪い賃貸物件でも値が上がったかもしれませんが、今の時代は「収益還元」で査定されるのが一般的です。
そんなわけで、「いくらで売れるか」ということを意識することは、甘い経営感覚では成り立たないことに気付かされると思います。

 

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