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「スタッフの営業力アップ クロージング編」

先週、【管理を増やすために欠かせない14の講座】の10日目を紹介しましたが、
これは「連続もの」ですので、11日目の完結編も紹介させていただきます。

 
11日目.「スタッフの営業力アップ3 クロージング」

 

クロージングに「苦手意識」をもつ営業スタッフが多いようです。
クロージングを「無理強い」とか「しつこい」とか「出しゃばり」と思っているのです。

クロージングは「無理強い」をすることではありませんね。
お客様を、申し込みから契約の決断へと誘導する行為です。

前提となるのは、お客様の「気に入っている」という気持ちです。
「気に入っていない」物件を勧めたら、確かに「無理強い」になってしまいます。
この前の講座で説明した、
「アプローチ」と「プレゼンテーション」は、
なるべく「クロージングをしなくても」決まるように積み上げた土台でした。

「プレゼンテーション」の最終局面で、
「テストクロージング」と呼ばれる質問をするように書きましたね。
お客様が感じる「利点」にスポットを当てて、
それらをお客様がどう感じたか、お客様自身の口から「Yes」を語ってもらいます。

この段階で、
「3階の角部屋と、5階の真ん中のお部屋と、もし住まわれるとしたら、どちらがいいと思いますか?」
などと聞いてもいいのです。
「やはり、角部屋です」と言っていただければ、
「有難うございます。それではお部屋をすぐに止めておきましょう」と言って電話をかけ始める。
お客様が止めなければ「申し込み決定」です。
クロージングは必要ありません。

でも、現地で「決めきれない」お客様もいらっしゃいます。
この時点でお客様は、「あとでゆっくり考えよう」と思っているでしょう。
「きょうは、このへんで失礼します」と言うお客様もいるでしょう。
でも、ここで帰したらダメです。
まだ、「クロージング」をしていないのに、帰すワケにはいきません。
お客様が決めない理由を「反論」といいますね。
僕は、反論とは思わずに「質問」と捉えるように指導しています。

※20年くらい前、ブライアン・トレーシーという方のセミナーで教えてもらいました。

「このお部屋に決めませんか」と言ったときに、
「駅から遠いから」とか
「予算がオーバーだから」とか
「誰かに相談したいから」というのは
「だから決めない」と言っているわけではありません。

「もっと近くて同じ家賃の物件が見つかるのではないか」とか
「予算内に収まるようにならないか」とか
「誰かに相談しないで決めると後悔しないか」と質問しているのです。
あなたを頼って問いかけたのですから、その質問に答えてあげてくたせさい。

「アプローチ」がしっかり出来ていれば、
「信頼感」や「権威」を感じてくれているので、
あなたの答えに大きく影響を受けるはずです。

そして、「情報収集」で得られたエピソードが、クロージングトークに役立つことがあります。

「月に一度か二度は、帰りが遅くなってタクシーを使うと仰っていましたが・・・・」
「このお部屋なら、その分は浮きますね」

「やはり、奥様と娘さんの安全性が気になると、とのことでしたから・・・・」
「この物件のセキュリティは、予算に替えられないのではないでしょうか」
といった風に・・・・
「アプローチ」の段階で「情報収集」がしっかりできていれば、
「予想もしなかった反論」が出てくることはないはずですね。
駅からの距離とか、
希望する設備とか、
周辺に欲しい施設とか、
お客様の要望を、「100%叶えきれていない」部分があることは最初から分かっています。
「分かっていて」お客様は案内に応じたのです。
ただ、「完全に納得」できていないので、最終局面で「抵抗の道具」として出てくるのです。
「それを承知で」見に行ったのですから、
それらが「絶対に決められない理由」ではありません。

あなたはそれを予想できていますから「あわてる」必要はありません。
反論にも準備しておけるので、余裕をもって対応できるはずです。

 

お客様は、いろいろな「決めない理由=質問」を投げかけてきます。
それに対処するテクニックも色々と語られています。
「イエス・バット法」

お客様の反論を「イエス」で受けておいて「しかし」で切り返す話法です。
クロージングのときだけでなく、対人関係をスムーズにするときにも活用できるテクニックです。

この話法を使うときは、「イエス」の部分を中途半端にしないことです。
考えられる、あらゆる「イエス」で同意してから「しかし」で切り返さないと、
お客様は、自分の主張が無視されたと思うので納得してくれません。

「予算から6000円オーバーしているので。やっぱり毎月の6000円は大きいです」
と抵抗されたとします。

「確かに!6000円の差は大きいですね!一日にすれば200円の違いです。
ご主人、200円違えば、お昼の定食でも随分と贅沢できます。
奥さんも、200円違えば、晩御飯の、ちょっとした「おかず」が一品増えますよね。
この前ニュースで、老人の基本年金を6000円も引き上げる案を発表していました。
収入のない老人にとって、1日200円の支給が増えるのは大きいですよね。」

ここまでが「イエス」です。お客様の言い分を「これでもか」と認めます。
そして、ここから「バット」の部分。

「でも、その200円を負担するかしないかで、どれだけお部屋に差が付くか考えてみましょう。
予算内に収まる物件を1番目に見ていただきましたが、
和室の一間が4畳半でした。
奥さん、4畳半は使いにくないですか?
もうひとつの物件は、駅からの距離が5分ほど遠かったですね。
ご主人の毎日の往復と、奥様の駅前スーパーからの帰り道、重い荷物を持って歩く時間を考えたら、
それでも200円は高いと感じますか?」

結論を営業が言ってはいけません。
質問で、お客様に考えさせて、そして答えに「誘導」します。
「埋め合わせ法」

物件には必ずマイナス面があるので、そこをお客様は突いてきます。
そのマイナス面を切り返しても意味がありません。
マイナスであることを認めて、それを「埋めて余りある」プラスで切り返します。

「駅から15分も歩くというところがどうも・・・・」
と抵抗されたとします。

「ご主人、確かに「ちょっと」距離がありますね。
駅から1200mですから、普通の方が歩いて15分ほどかかります。」

マイナス面を「あっさり」認めます。

「ただし、それを埋めても余りある「いい点」がたくさんあります。
まずは環境です。ご覧になりました通り、空気もいいし静かです。車も少ないので安全です。
駅から近かったら、この環境は手に入りません。
毎日歩くご主人の体にも良いですよね。ウォーキングが一番健康的だといいますから。
そして、なんといっても広い間取り。この面積でご希望の8分以内で歩けたら、家賃は1万円以上高くなります」
「質問法」

反論はお客様からの「質問」ですから、質問には質問で切り返します。
これは、一瞬、切り返しに困ったときにも使えます。

「もっと探せば、他にもあるんじゃないかと思って・・・・」
と抵抗されたとします。

「ご主人は、本日紹させていただいた以外にも、もっといい物件があるのではないか、と考えていらっしゃるのですか?」

次は相手が答える番です。この間に「切り替えしトーク」を整理する時間が作れます。

「・・・・・・ええ。・・・・・・・ないですか?」

「はい、ないはずです。なぜなら・・・・」

もう一つ「質問法」の効用は、お客様が質問に答えようとすると、
自分が発した「反論」が「取るに足らない」ことだと気付くこともあるのです。
「笑って受け流す」

お客様は、軽い気持ちで、あるいは本気ではなく反論してくる場合もあります。

「やっぱり、この家賃は僕の「稼ぎ」では高すぎますよ」
と抵抗されたとします。

「ははは。ご冗談を・・・・・・・・・」
これで、おしまい。

 

これらのテクニックは「切り替えし」には役に立ちます。
いろいろな本やセミナーでも勉強できますので学んでください。

 
お客様から、

「家賃が高い」
「希望の設備がない」
「希望の所要時間より遠い」
「時期が早すぎる」
「他にもあるのではないか」
「人に相談したい」
いろいろなことを、どう言われようとも、
物件がお客様に与える「利点」を再確認いただくのが、すべての基本です。

「これがあるから気に入っている」という事実を、
お客様に正しく認識していただくことが一番大切です。
テクニックは、それを「どう伝えるか」の方法論です。
そして、もうひとつの基本。
物件は「ただひとつしかない」ということです。
「それでは家に戻って、ゆっくり考えてみます」
と抵抗されて、

「分かりました。よくお考えください。よいご返事を待っております」
と帰してしまう。

賃貸物件が工場生産されていて、発注すれば何日後かに配達されてくるなら
この会話は「まだ」理解できます。

でも物件は「ただひとつしかない」ですね。
他の人が決めたら、その物件とは巡り会えませんから、「ゆっくり考える」余裕はありませんよね。
この瞬間も、他の会社から申し込みが入るかもしれないのですから。

きっと、「軽い案内」をしていると、このような結論を「軽く」認めてしまうのだと思います。

「そんなに、すぐには決まらないだろう」と
素人のお客様が考えるのは、これは「仕方ない」でしょう。
でも、プロの営業が、そう思ったら失格ではないでしょうか。
お客様が決めた時に、物件がなくなっていて悔しがった経験は、いやというほどあるはずですから。
気に入っていただいたお客様のためにも、ここで決断まで誘導して差し上げないと
あとでガッカリさせることになります。

だから、「ゆっくり考えます」なんて、認めてはダメなのです。

 

プレゼンテーションが終わり、
ここから「申し込み」へのラストスパーが始まったら、
ここからは、
「話しては質問」 「話しては質問」で会話を主導します。
あなたの会話を、すべて質問で終わらせるようにします。
するとお客様は、その質問に答えるでしょう。
あなたは、お客様の答えに対して言及して、また次の質問で会話を締めくくります。
お客様の、
「今日は帰って、ゆっくり考えます」などの断りを言う間を与えません。
このようにして、申し込みへと誘導していくという、クロージング話法です。
シナリオで例を示しましょう。

営業:〇〇さま。お疲れ様でした。
3件ほど見ていただきましたが、〇〇さんが、もし住んでもいいなぁーと思うとしたら、
何番目の物件がいいと思いますか?

お客:最後の物件ですね。

営業:そうですよねぇ。やっぱり最後の物件が陽当たりもいいですし、建物も綺麗でしたから。
オートロック付きマンションという「第一希望」も満たしていますし。
これなら、奥様も娘さんもご安心できまると思いますが、どうですか?

お客:そうですね。セキュリティ面の充実が一番の条件でしたから、安心です。

営業:本当に気に入っていただいた良かったです。
駅からは10分で、ご希望条件にはギリギリですが、まあ許容範囲ですよね?

お客:そうですね。もっと近いに越したことはないですが。

営業:間取の方はいかがですか。
LDKが10.5畳ありましたので、現在のお住まいより広くなりますね。
大きな液晶テレビが置けますね?

お客:ええ。広くなるので置けますね。

営業:ご希望が叶ってよかったです。
ところで、お引っ越し時期は、最初にお聞きした通りに来月末で変わりありませんか?

お客:そうですね。1ヶ月半くらい先ですけど。

営業:1ヶ月半だと、あっという間に来てしまいますね。
お引っ越しの準備は進んでいるのですか?

お客:それが全然です(笑)。決まってから始めれば間に合うと思っています。

営業:そうですね。ギリギリになって部屋を決定することはないでしょうし。
決めてからでも間に合いますね。
よくある話なのですが、お部屋を決めるときに、特に相談されるお相手とか、いらっしゃいますか?

お客:特に相談するということはありません。兄貴には報告はしますけど。

営業:そうですか。お兄さんがいらっしゃいましたね。
ところで、ご予算の方が5000円ほどオーバーしています。
1件目の物件は予算内に収まっていますが、5分ほど遠いし、築年数も5年古いです。
〇〇さんのご希望に叶うには、最後の物件くらいの家賃に、どうしてもなりますね。
家賃が5000円違うと、物件もこれだけ差がつきます。これが5000円分の価値ですね。
5000円のオーバーは大丈夫ですか?

お客:確かに、最初の物件ではちょっと遠いし、古いですね・・・・
でも、5000円のオーバーも大きいですよね。
家賃の交渉とかは・・・・・できるのですか?

営業:基本的にこちらのオーナーさんは、ギリギリのところで家賃設定をしていただいているので・・・・・・。
でも、〇〇さんのためなら、たとえ1000円でも交渉は、一所懸命にやらせていただきます。
それでは、・・・・・
このまま延々と続いてしまいますが・・・。

もちろん、これは机の上で書いたシナリオです。

ここで理解していただきたかったのは、
「話しては質問、話してては質問」という会話のパターンです。
営業が会話の主導権を完全に支配しています。

質問しながら、入居時期まで「そんなに余裕があるわけではない」ことや
「相談しないと決められない」といった抵抗の排除をしています。

最終的には、「決めるか決めないか」の質問に向かっていきます。
出来るだけ、「二者択一」の質問の方が、お客様の決断が軽く済みます。

「3階と5階と、どちらかといいますと、どちらの方がいいな、と思いますか?」

「これから洋間のクロスを貼り換えますが、今なら色が選べます。
青か茶色か、どちらかといいますと、どちらの方がいいな、と思いますか?」

 

 

営業には、「諦めない気持ち」と「当然と考える気持ち」が必要です。

特に「当然意識」は、営業として持っていたい「心構え」です。

敷居の高い不動産屋に入ってきたのだから、
部屋の中を見たいのは「当然」です。

気に入った物件に巡り会えたのだから、
申し込むのは「当然」です。

 

 

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