Q.昔の賃貸借契約は「個人の連帯保証人」でしたが、最近は保証会社を利用することが増えているようです。保証会社の定義を教えてください。
A.保証会社の定義とは、「保証料を徴収して借主の家賃滞納の保証をする」というものです。保証会社の数は多く、大きな会社もあれば小さな会社もあります。信販・カード系を親会社に持つ会社もありますし、財務的に不安な会社もあるのではないでしょうか。このような保証会社は10年くらい前から増えてきました。
全国的には「7~8割は保証会社を使っている」という地域があったり「あまり使われていない」という地域もあり、普及状況はマチマチです。
保証料は借主負担が一般的で、その額は家賃の30%~50%(入居時)で、1年か2年ごとに更新するのが主流です。
Q.保証会社のメリットとデメリットは?
保証会社のメリットは、何といっても「借主の家賃滞納時に面倒な督促行為をしなくても済む」ということです。滞納があれば保証会社が借主に代わってオーナーに賃料を支払ってくれます。賃貸経営の大きなリスクである「未回収損失」を防ぐことができます。
万一、明け渡し裁判などが必要なときも、手続きと費用を負担する保証会社が多いです。夜逃げなどの場合、室内に借主の残置物があると「やっかい」ですが、この処理費用も負担する保証会社が多いのです。
もうひとつ、「借主に歓迎される」という側面もあります。たとえ肉親でも「連帯保証人を頼むのは面倒」という借主が増えていますから、保証会社を使えることが募集条件のメリットになることもあります。
Q.「いいことづくめ」ですね。デメリットはないのですか?
A.デメリットもあります。まず「保証会社の倒産リスク」です。これは過去にも大きな倒産騒動が起きました。リスクを減らすためには、会社の規模と実績を見極めることです。信頼できる親会社があるかどうか、というのもチェック項目のひとつです。
ふたつめは「督促行為の質」です。理不尽な督促が行われると、善良な借主にも影響してしまいます。最悪は退去してしまうかもしれません。数年前に質の悪い保証会社が「行き過ぎた督促」を行い社会問題に発展したこともありました。廃案になったものの「家賃督促規制法(仮称)」制定運動のキッカケになりました。この法律が成立すると、「行き過ぎた督促」が行われたときはオーナーも罰せられることがあり、巻き込まれてしまうのです。
みっつめは、「保証会社が保証しないリスク」です。たとえば、借主が起こした火災による損害賠償を保証会社は負いません(借主の火災保険で担保していますが)。借主が室内で犯罪行為や自殺をした時にオーナーは大きな損害を被りますが、その損害賠償を保証会社は負わないケースが多いです。やはり肉親の連帯保証人を(滞納家賃は免除しても)立てておく方が安心です。
Q.デメリットを聞くと少し怖くなりますね。大丈夫でしょうか。
A.賃貸経営は「他人(ひと)に不動産を貸す」商売ですから、リスクから逃れることはできません。どのように、リスクを「ゼロ」に近づけるかが課題です。
保証会社は「家賃の未回収損失」というリスクを軽減してくれることは確かですが、万全ではない、ということを理解すべきです。そのことを分かった上で、信頼できる、リスクの少ない保証会社を選ぶべきでしょう。ところが、ほとんどの保証会社は不動産会社と提携していて、オーナーが直接に選ぶことはできません。つまり、募集や管理を委託する不動産会社を選んだときに保証会社も一緒に選択することになります。
保証会社のメリットを最大限に活かし、デメリットを小さくするのは、不動産会社に依るところが大きいのです。保証会社に「任せっきり」の不動産会社では不安ですね。信頼できる保証会社を見極め、万一のリスクが現実となったときには、保証会社に責任転嫁せず、オーナーをしっかりとサポートしてくれる不動産会社をパートナーとしてお選びください。