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「収益計画」のすすめ

賃貸経営には、オーナーごとにそれぞれの目的があります。
あるオーナーは「節税対策」で賃貸経営を始めます。固定資産税や相続税などがその対象です。
特に相続税対策で賃貸住宅を建てるオーナーは多いですね。
相続税は平成27年からの増税が控えていますので、対策の見直しを迫られるオーナーも多いのではないでしょうか。

また「土地を維持するため」という目的のオーナーもいらっしゃいます。
親から受け継いだ土地を易々と手放すわけにはいきませんが、土地は「何も活用しないまま」所有することを許してくれません
。固定資産税の負担が重いからです。
計算上は60年以上払い続けると、その支払い累積額が土地の価格を超えてしまうこともあるほどです。
仕方なく(?)賃貸経営を始めるオーナーもいらっしゃるでしょう。

一方で「資産を増やす」ことが目的で賃貸経営を始めるオーナーもいます。
不動産投資家と呼ばれる方たちです。
「〇年で〇億の資産を築いた」といったタイトルの手引き本も多く出回っていますね。
本当は売却して負債を返済してみないと投資の成果は分からないのですから、途中で総資産額だけ自慢しても意味がないと思うのですが・・・。

そして、どんな目的で賃貸経営を始めたとしても、「収益をより多く稼ぐ」ことが共通の目的であることは変わりません。
相続対策の場合は、貸家を建てた時点で「評価減」という目的の多くを達成することができたかもしれませんが、その後の経営が赤字で良いワケはありませんね。
もし「空室だらけでメンテナンス費用負担の重い不良資産」になってしまったら、相続する子供たちが可哀そうです。
目的が「土地の維持」でも同じですし、「資産を増やすことが目的」なら一層「収益の確保」が求められます。

一般的に、目的をもって何かを始めたときは、その目的を達成するために「目標」を掲げます。
そしてその目標を実現するために「手段」を講じます。
このように最初に「目的」があり、そのために「目標」があり、そのために「手段」があるのです。
だからその手段は目的によって異なるはずです。
たとえば「空室を埋める」ことを考える場合も、オーナーの目的によって「家賃を下げる」か「リフォームする」か、その手段は同じではないのです。

収益を稼ぐために

さて今回は「収益をより多く稼ぐ」ことが目的である場合の「目標と手段」について考えてみたいと思います。

まず掲げるべき目標は「来期の収益計画」という予算です。
今期と比べて来期は「どれだけ稼ぐか」を、しっかりと計画しましょう。仮に前期の年間の収益が350万円だったとします。
その内訳は、

賃料収入     500万円
運営費     △150万円
収益       350万円
負債返済額   △200万円
キャッシュフロー 150万円

そして来期は「収益を400万円に増やしたい」という予算(目標)を立てるとします。
このような目標を立てたとき、どんな手段を講じることができるでしょうか。

実は今期は100%の稼働率だったワケではありません。
つまり年間を通して満室ではありませんでした。
もし満室だったら賃料収入は600万円だったとすると、空室などによるロスが100万円あったことになります。

満室の賃料収入  600万円
空室などのロス △100万円
差引き賃料収入  500万円

 

空室ロスを抑える

収益を上げるための1番目の手段は「100万円のロスをいかに抑えるか」です。
具体的には、借主の退去を防ぐことです。
そのために借主に快適に暮らしてもらうことが最も重要な課題になります。
もし借主から何らかの苦情があったとしたら、それは借主の「ここで永く暮らしたいための要望」かもしれません。
地道な努力ですが、それらを叶(かな)えていくことも大事です。
場合によっては、借主が要望する設備(エアコンやドアホンなど)を設置してあげることが効果的な手段になります。
空いている部屋にかけるより、いま住んでいる部屋にかけた方が「お金が生きる」のではないでしょうか。

もし退去されてしまったときは、出来るだけ「空室期間を短縮させる」手段を考えます。
空室を早く決めるために「家賃を下げる」という手段がありますが、下げ過ぎると賃料収入が減るので収益を減らしてしまいます。
家賃を下げるより入居条件を緩和したり入居時の初期費用をサービスする方が良い、という意見もあるでしょう。
費用をかけて設備を設置することを選択する方が良いとか・・・いくつかの手段があり、その中から最も収益増に結び付く手段を選ぶことになります。

物件力を引き上げる

収益を上げるための2番目の手段は「満室時の賃料収入を増やすことができないか」です。
でもこれは簡単なことではありませんね。
建物や設備は年数と共に劣化していますし、賃料相場も下がっている状況です。
何も手を加えないで募集賃料が上がることはありません(アベノミクスでインフレ効果があったとしても難しい)。
しかし、設備の追加や間取の変更や大規模なリニューアルによって物件力が上がれば、募集家賃を引き上げることは可能です。
30年~40年の賃貸物件の一生の中では、このようなリニューアルの適齢期が一度はあるはずです。
そのタイミングなら思い切って投資することも効果的な手段のひとつです。

ただし、この手段によって運営費や(新たな借入れによる)負債返済額が増えますので、収益とキャッシュフローを圧迫することになります。
目的は「収益をより多く稼ぐ」ことなので、どの手段が一番よいかバランスを考える必要があります。

運営費をコントロールする

収益を上げるための3番目の手段は「運営費の150万円を下げることができないか」です。
運営費とは賃貸経営に必要な費用で、・固定資産税・火災保険・管理料・メンテナンス費用・共用部分の水道光熱費・事務費・人件費・その他の費用 などの項目をいいます。
特にメンテナンスにかかる費用が大きいので上手にコントロールすることが出来れば、不要なコストをカットすることができます。
人間の体と同じで、定期的なメンテナンスをすることによって、故障やトラブルを防ぐことができるのです。
結果的に建物と設備を長持ちさせて不要な出費を防ぐことが可能となります。

このような手段を講じることによって来期の予算を以下のように計画したとします。

満室の賃料収入  600万円
空室などのロス  △70万円
賃料収入     530万円
運営費     △130万円
収益       400万円
負債返済額   △200万円
キャッシュフロー 200万円

「そんなにコトは上手く運ばない」というかもしれません。
でも、目的に沿った目標は100%の達成率でなくとも、それによって目的に近付くことは間違いありません。

賃貸経営で「収益を稼ぐ」という目的は当然のことです。
その目的を実現するためには、目の前の「空室をどうする」「修理をどうする」という問題に対処することも必要ですが、次の年の予算(目標)を立てて、そのための具体的な手段を講じることが大切なのではないでしょうか。

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