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オーナー座談会 「賃貸住宅の未来を考える」

子育てを応援する賃貸住宅とは

司会 空室が増えて賃料が下がっているのに新築の供給は衰えません。そんな賃貸住宅の未来について語っていただきたいと思います。

Y 全国の空室が400万戸以上と言われていますからね。

D 何とか工夫しながら頑張っていますが、さらに需給のバランスが崩れ続けたら、さすがに不安になりますね。これからの賃貸住宅に、どんな新しい役割や需要があるのでしょうか?

A 僕は2~3年前から「子育てを応援する賃貸住宅」に注目しています。

D それは、どういうことですか?

A 子供を産んで育ててくれる若者世代は、多くが賃貸住宅に住みますよね。子供の数を増やすためには、たとえば保育所併設など、子育てしやすい環境を整えた賃貸住宅を整備していく必要があるのです。

Y 保育所を併設した賃貸住宅。政府の少子化対策の一環ですか?

Т 確かに、公共賃貸住宅団地に保育所を合築(利用目的の異なる公共施設を複合化併設すること)する事例が増えていますね。東京都でも「モデル事業」を3~4年前から実施しています。遮音性や転落防止など、子育て世帯向けの設備を備えて、さらに保育所や学童クラブなどを併設している賃貸住宅に助成金を設けています。そんな賃貸住宅の供給を促すのが目的のようです。

D 「子育て応援マンション認定制度」を掲げる自治体も少なくありません。

Y では、子育て世帯の方たちは賃貸住宅に「何を」を望んでいるのでしょうか?

A 間取はファミリータイプです。設備面では遮音性、防犯カメラなどの安全性、ベビーカーをたたまないで乗れる広いエレベーターなど。道路に歩道があって安心して歩ける、駅やバス停への距離が近いこと。

D 安全を考えると、段差の解消、滑りにくい床材、柱の角の面、指はさみ防止策、コンセントの位置、ホルムアルデヒド対策など、色々とありますね。

Т あと、「雨の日に遊べる場所」が欲しいという話を聞きました。そして「住人同士の交流ができる仕組み」ですね。さらに、「子どもの一時保育サービス」があったり、診療所や保育所のような周辺施設の充実を求めているようです。

Y 保育所が併設されていたら「なお良い」ということですね。でも、それらを賃貸住宅に求めるのは簡単ではありませんよね。

A もちろん簡単な話ではありませんね。

Т 「子育てを応援する賃貸住宅」を目指すなら、いいアイデアがあります。
1階の空き部屋を「キッズルーム」にするのです。お母さんが気にするのは子どもの騒音ですよね。雨の日に部屋の中で駆け回る子どもの音が気になる。1階の空き部屋を、遮音性の高いキッズルームにすることで、雨の日でも子どもが遊ぶことができて安心です。

W さらに、ファミリー同士の交流の場にもなりますよね。高齢者の方にも、よいコミュニティになると思います。このような環境が整うと、子育て世帯の方が入居してくれて、長く住んでくれる可能性が高いのではないでしょうか。

Y ファミリー用賃貸住宅の先行きに不安を感じていましたが、「子育て世帯応援」という需要もあるのですね。

高齢者の単身世帯にコミュニティを

司会 今後は「単身者の増加」という問題がありますが、これと賃貸住宅の関わり合いはいかがでしょうか。

A 単身者というと若年世帯を思い浮かべますが、これからは高齢者の単身世帯も増えますね。「孤立死」の心配もあります。

Т 現在でも単身世帯は全世帯の32%と一番多いですし、2035年には37%が単身世帯になると予想されています。

Y 3世帯に1世帯以上が単身世帯!?。

A 単身者は、地域と孤立しやすいという側面があって、災害時の連絡網から漏れる危険もあります。このような孤立を防ぐために「コミュニティを育む賃貸住宅」が提唱されていますね。

D コミュニティ型賃貸住宅ですか。

W そう言えば、テレビの報道番組で紹介されていましたね。「ダイエットを目指す女性」だけが集まる賃貸住宅とか、同じく女性向けですが、バーベキューや様々なイベントが用意されている住宅とか。そこで暮らせば、自分と共通の人たちと出会えてコミュニティが広がって楽しそうでした。

A さきほどの「空き部屋をキッズルーム」というアイデアも、子育て世帯同士のコミュニティを育みますね。若年の単身世帯や女性世帯だけでなく、高齢者同士、母子家庭、子育て世帯など、いろいろな世帯のコミュニティ型賃貸が考えられます。

Y 必要なのはスペースですか?

A まずはスペースですね。1階の空き部屋とか広いエントランスとか、中庭みたいなスペースとか。それと「企画」だと思います。特に、これから増えていく高齢者の単身世帯には、このようなコミュニティが必要になってくると思います。孤立させないためにも。

賃貸の品質は持ち家に近付く!?

司会 今後、賃貸住宅と「持ち家」の品質の差はどうなるでしょう?

W 最近の新築賃貸住宅は、床の遮音性やサッシの断熱性や外壁の耐久性など、持ち家と同レベルの部材を採用するケースが増えているようです。

Т 実は住宅も、クルマと同じように〝燃費〟が重要な選択基準となる、という話をご存知ですか。

Y 住宅なのに燃費ですか?

Т 2020年に予定されている、「新築住宅に対する省エネ基準の義務化」というのがあります。賃貸・持ち家にかかわらず、すべての新築住宅は一定の省エネ性能を備えることが法律で義務付けられようとしています。

A 「省エネ住宅」ですね。補助制度もいろいろとあるようですね。

Т この基準に適合した住宅は、「年間光熱費がいくら少なくて済むか」が計算できるようなります。だから今後は、賃料だけでなく、光熱費の差が大きな選択基準になるかもしれない、というワケです。

A ということは必然的に、賃貸住宅も住宅本体や設備が、持ち家と同レベルに近づくことになる、ということですね。「賃貸だから、持ち家よりも品質が劣るのは当たり前」という時代は終わるのかもしれませんね。

W 仮に、若年世代の所得がこのまま伸び悩んで家を持つことが難しくなると、無理にローンを組んで住宅購入することを諦める傾向が強まるかもしれません。つまり「生涯賃貸派」が増えるということ。もうひとつの側面は、持ち家購入のための頭金を不動産投資の元手に回して、自分は賃貸に住みながら資産を増やそうとする若者も増えています。

D 「彼ら」は質の高い賃貸住宅を求めるでしょうね。これからは、賃貸住宅と持ち家の品質の差が「縮まる」ということでしょうか。未来のことは誰も正確には分からないけど。

司会 賃貸住宅市場には現在400万戸以上もの空室があり、貸家の新設住宅着工がこれからも増加し続けると、将来的にはさらに供給過剰となって、空室増や値下がりが一段と加速するとの見方が一般的ですが・・・・。

A でも・・・・。子育て支援、単身者同士のコミュニティ、省エネ基準、上質なレベルを求める賃貸派、などを考えてみると「新たな需要」が見えてきます。

Т いまの400万戸の空室は、そのままではデッドストック(売れ残り品)になるかもしれませんが、賃貸住宅への需要がなくなるのではない。

Y 「新しい需要」に取り組めば、賃貸住宅の未来は明るい?

A 少なくとも「真っ暗」ではないと思います。

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