Q.外国人に「1人で住む」という約束で貸しているのですが、
複数の男女が出入りしている様子です。
先日も玄関に7~8足の履き物があるのを目撃しました。
「複数が暮らすのは契約違反だ」と告げても「暮らしているのは1人だけ」と答えます。
近隣の迷惑になるので契約解除したいのですが可能でしょうか。
A.よくある外国人のトラブルですね。
おそらく、
日本に出稼ぎで来たときの一時的な住居として利用して、
落ち着くところが見つかったら出て行くという、
そんな使い方をされているのでしょう。
彼らには、特に「重大な契約違反をしている」という意識は薄い場合が多いようです。
とは言っても、
貸主にとっては「重大な約束違反」ですから、
すぐにでも止めてもらわなければなりませんね。
方法は大きく分けて2つです。
話し合いで解決するか、法的な手段に訴えるかです。
後者は時間と費用がかかりますから前者の「話し合い」が先ですね。
ここで知っておいていただきたいのは、
このような「利用方法違反」の場合に、
相手に立ち退きを求めるのは「想像以上にハードルが高い」ということです。
「契約違反なのだから、すぐに解約できるのでは?」
と思われるかもしれませんが、
「単なる契約違反では不十分」とされるのが日本の賃貸借契約の特徴です。
もし裁判となると、
「相手方の契約違反行為により当事者間の信頼関係が破壊された」
と認められることが必要になります。
1人で住むという約束を破り、
1回の注意をしたくらいでは「信頼関係の破壊」とはならないのです。
根気強く複数回の交渉が必要ということを覚悟してください。
まず証拠が必要になります。
近隣の方に協力していただき証言を書面に残しておく、
訪問した際の状況を写真やメモ等で記録しておく、などです。
そのうえで、
その行為は契約違反であり、日本では重大な約束違反なので、
「すぐに止めてほしい」と告げます。
このまま約束を破り続けるなら「退去して欲しい」
と強めに口答で伝え、文書も手渡します。
このように、利用状況を改めるように複数回の文書で通告します。
これは、
「信頼関係の破壊があったかどうか」の判断に重要で、
後日法的手続きに訴えた場合に備えた行為ともなります。
もし個人の連帯保証人がいるなら相談してください。
日本人の連帯保証人なら、そこで解決する可能性もあります。
個人でなく保証会社による保証の場合でも相談してみることです。
保証会社は「滞納等のときに保証する」という立場ですが、
約束違反でトラブルを起こしていると知れば対処してくれるかもしれません。
この、複数回の交渉と文書の提出と
「貸主の本気」を伝えても止めないなら法的手続きしかありません。
弁護士さんに相談して「明け渡し訴訟」の手続きを開始することになります。
借主が「複数人を住まわせている」という証拠と、
何度も「止めるように忠告した事実」を証明できれば、
契約解除が認められる可能性はかなり高いでしょう。
すぐ管理会社に相談してください。
同じように騒音や近隣トラブルや家賃滞納などの契約違反であっても、
解除を認めさせるハードルが高いことは、
知っておいていただきたいと思います。