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店舗物件で起こった夜逃げと居抜き物件の顛末


今回は店舗物件で起こった
事件の顛末をお話しします。

数年前のことですが、
管理物件の2階で飲食店を営んでいた借主が
3ヶ月の家賃滞納の末に夜逃げしてしまいました。

この場合は原状回復をして貰うことはできませんので、
今後の募集はどうすれば良いのか?
という問題が出てきます。

選択肢としては、スケルトン状態に戻すか、
居ぬき物件として募集するか、
の2つになります。
ここで言葉の意味を説明しておきましょう。

<スケルトン状態とは>
室内に建物躯体以外には何も無い状態を指します。
給排水管や照明等の電気設備や
空調設備が無い状態です。

細かく定義すると、
照明器具は撤去されているが
天井のボードが残っているのはスケルトン状態ではありせん。

<居抜き物件とは>
貸室内に建物躯体以外に
設備や造作が残っている状態を指します。
設備とは、空調・照明・給排水などで、
飲食店ならば厨房機器等が設備の具体例です。

造作とは、床材や壁材・天井ボードなどで、
飲食店ならば作り付けのカウンターや店内装飾、
事務所ならば会議室や受付等の区割りは全て造作です。
これらのいずれかが残っていれば居抜き物件となります。

さらに居抜き物件の場合は、
「造作売買付きで有償」か
「現状渡しで無償」かの選択があります。

有償とは、
室内の造作・設備を新しい借主に売り渡します。

これは賃貸借契約とは別の造作譲渡契約を交わします。

今回のケースで考えると、
大家さんは売り渡しで得た金銭を
家賃未回収に充てられるメリットがありますが、
造作・設備の権利が新しい借主に移転しますので、
賃貸借契約でその権利について
取り決めておかないとトラブルの元になります。

具体的には
「貸主はアフター保証等の義務は行わない」
「退去時はスケルトン状態に戻すこと」
などの特約です。

もうひとつの無償とは、
造作・設備が付いた状態で賃貸借します。

新しい借主にとっては、
「出店コストを削減できる」
「開店までの期間を短縮できる」
などのメリットがありますから
早く決まる可能性があります。

今回は大家さんと検討した結果、
「現状渡しで無償」という条件で募集することにしました。

大家さんにとっても借主候補の裾野が広がりますし、
借主の初期費用が抑えられるので
契約になる確率が高くなります。

また、
常に勢いのあるテナントが入居してもらえれば
街の活性化にも繋がっていくものと思います。

「有償」という選択肢もありましたが、
大家さんとしては一時金を手にするよりも、
早くいい借主さんを見つけて永く商売してもらいたい、
という想いが強かったようです。

さて募集の結果ですが、
数ヶ月後に新しい借主さんが決まり、
契約して数週間後に前と同じ飲食店として
オープンされました。

今回の契約にあたって気をつけたポイントは以下の通りです。

1.設備・造作をリスト化して数量や状態や動作確認やメンテナンス状況を借主と確認した。

2.居抜きで引き渡しをするが退去時は借主の費用でスケルトン状態にして明け渡すこと。

2について「居ぬきで貸した方が良いのでは?」
という意見もありましたが、
造作・設備の劣化の進行具合は
使用頻度や店舗の環境によって異なるため、
数年後の資産価値については予測が立ちにくいのです。

そのため、
明け渡し時はスケルトン状態に戻してもらう事を
明確にしておくことが賢明と判断しました。

今回は夜逃げという想定外の事件によって
「居抜き貸し」を選びましたが、
この方法は「スケルトン貸し」比べて
懸念すべき点があることを十分に知っておく必要があります。

想定外は「いつ起こるか」は分かりませんので、
その状況に合わせて慌てずに、
知識と経験を総動員することが、
大家さんの役に立てる賃貸管理だと考えています。

この記事は当社のオーナー向けニュースレター2021年3月号に掲載されたものです。

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