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SNS(ソーシャルネットワークサービス)と賃貸経営

SNSというワードを聞くようになって久しいです。

SNSとは、フェイスブック、ユーチューブ、ツイッターなど、
個人が情報伝達できる媒体のことです。

10数年前に起こった反政府デモ「アラブの春」では
SNSが大きな力を発揮したといわれています。

いまウクライナで起こっている戦争でも同様です。

SNSは、国やマスメディアに独占されていた情報発信を
個人でも容易にしたことで、大きな影響力を持つようになりました。

あらゆる面で、
個人では知ることが困難だった情報に
触れられるようになりました。

その影響は賃貸経営にも見え始めています。

大家さんが賃貸経営を学ぶには、
本を読むかセミナーに参加する必要がありましたが、
今は無料でブログや動画が公開されています。

中には有料と遜色なく質の高いものもあります。

半面、個人の自由発信なので
誇張や間違いが含まれている場合もあるので
選択する必要はありますが、
これはSNSの良い面と言えます。

反対に困ったことも起こっています。

「手数料は0.5ヵ月分でよい」と教えるSNS

ここ数年来、
賃貸仲介の現場で「手数料を家賃の0.5ヵ月分に」
と交渉するお客様が増えているそうです。

仲介会社が物件の内見前に「手数料は1ヵ月分を申し受けます」
と説明して了承を得ていても、
契約の時になって「0.5ヵ月分に」と交渉して、
受け入れないとキャンセルされるケースもあるようです。

原因の一つがSNSで
「借主の仲介手数料は0.5ヵ月分でよい」と
教えているブログや動画があり、
多くの視聴回数を獲得していることです。

賃貸の仲介手数料は国の告示によると、
「貸主と借主から0.5ヵ月分ずつ
合計1ヵ月分を超えてはならないのが原則」とされています。

しかし、
「承諾を得ればその限りではない」となっているので、
上記の仲介会社の対応に法的な問題はありませんし、
多くの現場で行われています。

しかし契約の段になって「下げなければ契約しない」
と言われたら無理に強要はできません。

断れば別の仲介会社に
「この物件の仲介をできますか? 手数料はいくらですか? 
 見積りをお願いできますか?」と行かれてしまうこともあります。

そう教えているSNSもあるのです。

都心の賃貸仲介会社の店長は
「若者に節約志向が増えたことと、
ユーチューブなどのSNSの影響で手数料の
値引き交渉が多くなっているのは事実です。
このようなお客様の変化を受けて
『内覧済みの物件資料を持ってくれば当社で契約だけします』
とアピールする仲介店舗もでてきました。
賃貸仲介ビジネスを壊す行為だと思っていますが、
そういう業者は昔からいましたね」と表情を曇らせていました。

「退去費用を〝ほぼ無料〟にできる方法」

さて、SNSで教えているのは
賃貸仲介料の値引き方法だけではありません。

大家さんの収入と支出に関わる情報も発信されています。

登録数199万人(4月時点。これはかなり多いです)
のユーチューブチャンネルで、
たとえば「賃貸物件の退去費用をほぼ無料に出来る方法」
というタイトルの動画は、250万回(これもかなり多い)も再生されています。

60分弱の動画を視聴した感想は、
貸主側が国土交通省のガイドライン
に沿った賃貸借契約書をしっかりと使っていれば、
ほぼ無料にすることは無理と思える内容でした(もちろん特約の内容によります)。

しかし、
これを退去する借主が見て理論武装してくるのは事実です。

他にも「家賃を下げる方法」とか
「賃貸の部屋を安く借りる方法」といった動画も
人気があって再生回数を伸ばしています。

貸主としては気になるタイトルには違いないと思います。

賃貸経営の基本を守れば怖いものはない

だからといって過度に反応しても仕方ありません。
24年前の平成10年に建設省(当時)の
原状回復ガイドラインが広まったとき、
今まで「敷金は返ってこないもの」と思っていた消費者が、
原状回復の定義を知ったことで敷金精算の慣習が
変わったことがありました。

同じようなことが細部において、
SNSによって周知されていくのだと思います。

貸主側としては法律に基づいて賃貸経営をしているなら
何も困ることはありません。

ただ法律上のことですので、
契約前の説明と、契約書類等を適正にしておくことは重要です。

それができていたら、
SNSの情報を曲解した借主でも問題なく対応できます。

何よりも入居中の借主と良い関係を築いておくことが、
このような交渉を避ける一番の対処法でしょう。

SNSでは、このようなお金の節約系だけでなく、
物件や物件がある地域の評価が発信されることもあります。

プラスの情報を貸主側が積極的に発信していくことも可能です。

マイナス面だけに注目せずに、
誰でも情報の発信側になれるというSNSの特徴を
利点にすることもできるのではないでしょうか。

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