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【管理スタッフからの現場レポート】ペット可物件で起こるトラブル

犬・猫の推計飼育頭数は全国で1600万頭を超えています。

犬が約710万頭、猫が約890万頭ということで、
2014年に逆転してから猫が犬を上回っています
(2021年、一般社団法人ペットフード協会調べ)。

今回は、ペット可物件で起こったトラブルについてレポートさせていただきます。

人への愛情が芽生えて遠吠えする犬

4階建てペット可マンションで、
「変な音か声が聞こえる」という訴えが、
最上階の入居者から入りました。

夕方頃に聞こえるとのことです。

騒音苦情は現地で確かめるのがセオリーなので行ってみると、
たしかにくぐもった音(声?)が聞こえました。

「これはアレだな」と見当をつけて、
音が近い302号室の前に立つと、
思った通りのワンちゃんの遠吠えでした。

「ワオーン」という元気な遠吠えではなく、
声はか弱く、部屋とサッシが締め切りなので
、4階の室内からは「変な音」と聞こえたようです。

この部屋の借主は若いご夫婦で、
日中は二人とも仕事に出ています。
帰宅時間に訪問して奥様に告げると、
「遠吠え……!?」と驚かれました。

犬種はコーギーでウェンディという名のワンちゃんは、
前の飼い主に虐待されて保護施設にいたところを譲り受けたそうです。

「やっと人間に慣れてきたところで、
寂しくなって吠えるのかもしれません」
と涙ぐんでいました。

遠吠えをやめさせる方法を保護施設に相談することと、
必要ならトレーニングを受けさせると約束してくれました。

その後、保護施設のアドバイスを受けて、
朝と夜の2回に散歩を増やすことで、
すぐに遠吠えは聞こえなくなりました。

玄関の周りにペット特有の臭いが

別のペット可マンションでは、
ペットを飼っていない借主から
「玄関前で動物の臭いがキツイ」との苦情がありました。

隣の201号室にはフレンチ・ブルドッグが飼われていたはずです。

戸口の前に行くと玄関ドアが
30cmほど開け放しになっていて、
かすかに特有の臭いが漂ってきます。

私が「かすかに」と感じたのは、
自分もペットを飼っているので臭いに慣れているからかもしれません。

飼っていない人にしてみれば「キツイ臭い」と感じるのでしょう。

また、コロナ対策で換気をしているためなのか、
日中はサッシと玄関を開け放していることも理由の一つでしょう。

201号室の間取りは、
入ってすぐ右側に洗面・脱衣室があり、
そこにペットシーツを敷いてフレンチ君のトイレとしていました。

排泄は行儀よく済ませるそうですが、
これでは玄関付近に臭いがこもるはずだと思いました。

トイレの場所を変えられないか、
玄関の開け放しをやめられないか、
と提案をして、
渋々ですが受け入れてもらいました。

借主さんはワンちゃんの臭いに
慣れていて気にならないのですが、
日常生活にペットがいない方は、
この臭いを我慢するのが難しいのでしょう。

飼う人と飼わない人が同じ棟に暮らす賃貸住宅では気を付けるべきポイントだと思います。

共用廊下を大型犬が歩いている!?

共用通路でペットを歩かせることは禁止、
というのが一般のペット可のルールです。

そこで、「ゴールデン・レトリバーが歩いている!」
というビックリする情報が入りました。

すぐに現場に行くと、
犯人は柴犬を飼っている一番奥の106号室、
という証言を受けて訪問してみました。

話を伺うと
「ペット仲間で仲良くしている60代の友人が入院してしまい、
3ヵ月間だけ面倒をみたい。
付近に身寄りもないので、
このままでは施設に預けるしかない」という説明です。

真面目なご夫婦でうそをついているようには思えません。

でも、
「当マンションでは大型犬も共用通路を歩かせることも禁止なのです。
一世帯に一頭という規則もあります。これを見過ごすのは難しいです。」
と申し上げました。

「そこを何とか」と切々と訴えるので、
それ以上の強面(こわもて)を保つことができず、
「大家さんに相談します」と、その場を後にしました。

管理スタッフとしては、
トラブルを大家さんに持ち込まず処理すべきなのですが、
よい解決策がすぐに浮かびませんでした。

もう8年以上も、
滞納もトラブルもなく暮らしていただいているご夫婦なのです。

大家さんには、
3ヵ月以内という誓約書を書いてもらう、
106号室から玄関までの通路だけ歩行を許可する、
他の世帯には事情と措置を書面と口頭で(管理会社が)説明する、
予期しない事態が起きたら誠意を持って対処する、
という条件で、特別に許可してはどうか、と提案して了承をいただきました。

ルールを守ってもらうことが管理スタッフの仕事ですから、
この対応は自分でも甘いと思いましたが、
これからのレトリバー君の身の上を考えると、
他に妙案は浮かばなかったのです。

ペット可物件で起こったトラブルの一部を紹介しましたが、
やはり多いのは、
鳴き声、臭い、共用部を汚す、ルールを守らない、などの順になります。

それらを見越した上で規則を作り、
入居前に借主に納得して署名いただくことが、
ペット可とするときの前提条件です。

それでもトラブルはゼロにはなりませんので、
あとは現場に行って、素早く適切に対応することが大事だと思っています。

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