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ゼネコン施工ミスの背景に構造的問題

今年に入ってから大型ビルなどの工事現場で
施工不良が相次いでいます。

3月には北海道・札幌で建設中の
26階建て高層ビルで施工不良と
数値改ざんが発覚しました。

施工していた大成建設(東京)によると、
すでに工事は全工程の2割以上まで進んでいましたが、
組み終えた鉄骨を解体してからの
「建て直し」を発表しています。

同じく大成建設で建て替え工事が進んでいた
東京・世田谷区役所庁舎は、
施工計画に問題があったため工事が
2年近くも延長する見通しになってしまいました。

また、6月末に竣工予定だった
東京・港区のJR田町駅前の
超高層ビル「田町タワー」では、
床の施工不良が発覚し完成が
同年9月末に遅れることが明らかになりました。

施工の清水建設(東京)によれば、
一部のコンクリート床の高さがズレて
工事が続けられなくなったとのこと。

専門家によると鉄骨の柱についての管理が適切でなかったようです。
 
問題を起こしたのは大手建設会社ばかりなので驚きが拡がっています。

建築業界に詳しい記者は
「ゼネコンは建材費と人件費のダブル値上げにさらされている。
 一方で、再開発が活況で1000億円規模の大型案件が
 いくつもあるため工事現場に割ける労力が減っている。
 帳票管理のデジタル化などで効率を高める工夫も進んでいるが、
 まだまだ追いついていません」
と原因を語ります。

働き方改革によって週休二日制の導入が
増えていることも影響しているようです。

ある金融機関の建設業界担当者によると、
某ゼネコンでは工事に手が回らず辞退した案件が多く、
機会損失は年間1000億円から
2000億円にも上っているようです。

ある管理会社によると、
賃貸住宅建設やリフォーム現場でも
値上げと工事遅延がたびたび起きていて、
その影響は賃貸業界にも拡がっています。

ゼネコンの施工不良から見えてくるのは、
すぐには改善できそうにない建築業界の苦境でした。

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