不動産ポータルサイト「HOMES」を
運営する株式会社LIFULL(東京都千代田区)が、
「おとり物件」に関する調査結果を発表。
おとり物件とは、
存在しない物件や契約済みで取引不可能な物件、
取引する意思のない物件の3種類を指します。
2018年度のおとり物件数は2,212件でしたが、
2022年度は126件に激減しています。
この減少の背景には、SNSの普及により
架空の物件広告が難しくなったことがあります。
今の時代、悪いことはすぐに広まるので、
信用問題を起こしてまで集客することが
「割に合わない」と理解されたのでしょう。
また、不動産事業者のコンプライアンス意識の高まりも影響しているようです。
架空物件の減少とともに、契約済みなのに、
ポータルサイトに掲載され続ける物件も、
「おとり物件」と指摘されるようになりました。
LIFULLの調査では、半数以上の不動産会社で、
募集終了した物件の掲載を取り下げに1日以上を要しているそうです。
意図せずに「おとり物件となってしまっている」と言えるでしょう。
根本的な解決策としては、
不動産管理会社と仲介会社がシステムで連携するなどがありますが、
設備投資が必要でもう少し時間がかかりそうです。
監督官庁によると、
募集終了とは「入居申込みがあった時点」と定義されています。
しかし、実際には審査で落ちるケースも少なくなく、
2番手や3番手の候補者募集のために残したいという考えも理解できます。
このような現場の実情と、
「申込み済みなのに掲載されている」という非難との間に
隔たりがあることも課題として考える必要があります。
また、おとり物件が巧妙化している事実も確認されました。
安い家賃で数ヶ月の短い定期借家契約を結び、
再契約時に家賃が大幅に上がるという条件なので、
賃料に魅力を感じて問い合わせたものの内見を希望する人はおらず、
反響後に他の物件へ誘導する目的で掲載しているようです。
架空物件では無いため、指摘しづらい面がありますが、
これも立派な「おとり物件」なので注意が必要でしょう。