あなたが管理したい物件の大家さんに
あなたの賃貸管理の話を真剣に聞いてもらう時間を作るために
これからオーナーマーケティングを始めていただきます。
そのためには
あなたが管理したい地域と
その中にある物件、つまりターゲットを決める必要があります。
漠然と「この街にある賃貸物件はすべてターゲット」という考えでは
大家さんに発するメッセージが弱くなります。
反対に、管理したい物件と 大家さんが明確であればあるほど
あなたのメッセージが強くなります。
たとえば、
これは本当に仮の話ですが、
あなたが管理したい物件を「単身者向け」に特定するとします。
ワンルームや1Kや1DKの物件です。
するとあなたは、入居募集のために
近隣の大学との提携を考えたり
単身者物件の 管理メニューを用意するはずです。
その あなたからのメッセージは
単身者向け物件の 大家さんには強く刺さるはずです。
反対にファミリー物件の大家さんに届かなくても構わないのです。
そもそも、あなたの地域に多くの学生を抱える大学があり
あなたの店舗の立地が大学の近くという条件で
今までの仲介の大半が 大学生だったという事実があったので
あなたは「単身者向け物件に特定する」と決めたのかもしれません。
このように、ターゲットを絞るほどに
あなたのメッセージが強くなることを理解してください。
そうは言っても
「単身者に特定する」というほどの絞り込みは難しいかもしれませんが
漠然と「この街にある賃貸物件はすべてターゲット」という考えはお勧めできません。
まず、エリアを決めてください。
あなたが、これからオーナーマーケティングを行うエリアです。
あなたの店舗が○○市にあるからといって
「○○市全体をエリアとする」と決める必要はありません。
道路や鉄道など、お客様が利用する交通網によって
あなたのエリアは市を超えるかもしれませんし
もしあなたが
「築30年以上の物件にリノベーションを提案する」という作戦なら
新しい市街地は、あなたのエリアから除外されるわけです。
店舗から車で「何分以内に行ける」とか
「強い競合会社がいない」とか
あなたが狙い撃ちしたい管理会社の管理物件が多くあるとか
逆に「取った取られた」のトラブルを回避したい管理会社の物件が少ないとか
あなたが仲介で強いとか
あなたの事情を考えてエリアを特定するのです。
最初は小さくエリアを決めて
徐々に広げていく、という考えもオッケイです。
エリアが決まったら、
つぎはその中にある物件をターゲットとして特定します
「エリアを決めたのだから、その中の物件すべてで良いのでは?」
という意見もあるかもしれませんが
さらに、エリア内の物件も特定すべきです。
先ほどの例えにもどるなら、
「単身者向け物件に特定する」と決めたなら
当然にワンルームや 1Kや 1DKの物件に特定するはずです。
物件を特定するにあたっては、考えていただきたいコトがあります。
それは、「あなたの賃貸管理の“強み”は何か」
ということです。
まだ あまり管理物件が多くなかったり
これから賃貸管理を始めるという場合は
「賃貸管理の強み」は考えにくいかもしれません。
でも、売買仲介に強いということは
賃貸管理の「強み」にもなり得ます。
大家さんは賃貸物件以外の土地や建物を所有していますので
「売りたい、買いたい」という事情が発生する事が多いでしょう。
建築工事に強いというのも大きな強みです。
築年数の経った物件は、
リノベーションや大規模修繕が必要です。
大家さんは余計な費用は払いたくないので
工事に詳しく、費用対効果の高い提案をしてくれる会社を求めています。
地域で永く営業しているのも強みです。
それだけ地域に根を張って、協力してくれる人や企業が多いということです。
優秀な人材が揃っている、社員の社歴が長いというのも強みです。
人材確保は「良い賃貸管理」にとって最重要のテーマです。
あなたの会社の強みとは
賃貸管理に直接に関係していなくても良いのです。
そう考えれば
強みのない会社は ないはずですね。
管理したい物件を特定するときに
もうひとつ、取り組んでいただきたい作業があります。
それは、あなたが選んだエリアの市場調査をしていただくことです。
具体的には、次の記事の
「オーナーリストを作る」で説明しますが、
簡単に言いますと、
あなたのエリアにある賃貸物件を
なるべく詳細に調べていただきたいのです。
構造・階数、世帯数、間取り、空室、募集看板、管理会社、管理状況などです。
あなたの会社が、この地域に長くあったとしても
このような賃貸物件の実態は知らないのではないでしょうか。
この市場調査の結果から見えてくるのは
「大家さんが何に困っているのか」という実態です。
たとえば、間取り別の空室状況から
木造のファミリー物件の空室が多い、という事実が判明するかもしれません。
あるいは、A管理会社の物件は
管理状況が悪く、空室も放ったまま、という事実が判明するかもしれません。
物を売るときの基本は
「欲しがっている人に欲しいモノを与える」ことですから
賃貸経営に困っている大家さんを知ることは
あなたのオーナーマーケティングにとって大きなプラスになるはずです。
反対に多くの管理会社さんが
大家さんの状況を考えることも無く
自分勝手に用意した賃貸管理という商品を売ろうとしています。
それでは「2%にまけろ」と言われるのは当たり前です。
物件を特定するときに
「管理を業者に依頼しているか」
「大家さんが自分で管理しているか」
という見方で判断することもできます。
もし、建物に2枚以上の募集看板が付いていたら
それは「自主管理」の大家さんです。
あなたが
「一般媒介で預かって、そこから管理に移行する」という戦略なら
自主管理大家さんの物件がターゲットとなります。
あなたの強みが店舗網と仲介なら、
その戦略は強みを発揮できる良い戦略でしょう。
ただし自主管理の大家さんは
多くの管理会社から管理を進められてきた中で
それを断ってきた、という事実を 知っておく必要があります。
管理会社は、入居募集以外は役に立たない
管理会社に管理料を払うのは勿体ない
と思っているのです。
その大家さんから管理を委託してもらうには、
大家さんの思い違いに気付いていただいて、
あなたの賃貸管理が役に立つことを納得させればよいのです。
反対に、すでに管理を業者に依頼している大家さんは
管理料を支払うことは承諾しています。
でもいま、空室が多いとか、現場の管理状況が悪ければ
管理に不満を持っていることが想像できます。
あなたの賃貸管理が、その問題を解決できることを証明すればよいのです。
しかし「取った、取られた」という軋轢は起こります。
どちらの大家さんが あなたの会社の事情に合っているか、
を決めておく必要があります。
以上のように
初回訪問で いきなり賃貸管理を売るのではなく、
あなたが管理したい物件の大家さんに
あなたの賃貸管理の話を真剣に聞いてもらう時間を作るための
オーナーマーケティングの最初に
エリアとターゲットを決める必要があります。
ここに向けて時間とパワーをかけていきますので
その決定をしっかりと行ってください。
それでは、つぎの記事では
市場調査をかねた オーナーリストの作り方についてお話しします。